香港の拘束者、重大事件なら中国本土に送致の可能性も
香港警察は1日、抗議デモの現場で「香港独立」を主張するなどした男女10人を、前日施行された「香港国家安全維持法(国安法)」に違反した疑いで逮捕した。香港の自由を制限する国安法が成立し、当局がどう運用するかに注目が集まるなか、反体制的とみなした言動に厳しく適用していく姿勢を示した形だ。
国安法施行後、初の逮捕者となった10人は、いずれも1日に民主派が呼びかけていた抗議デモに参加したとみられる。
香港警察によると、このうち1人の男性の所持品を検査した結果、中国語と英語で「香港独立」と書かれた旗が見つかったという。もう1人の女性も「香港独立」と書かれたボードをデモ現場に展示した疑いがある。また、いずれも36歳の女性2人も「香港独立」などと書かれた印刷物を、15歳の女性と26歳の男性も「香港独立」の旗を所持していたとして逮捕された。
抗議デモのスローガン「香港を取り戻せ」を記載した旗を取りつけたバイクで、警察官にぶつかった23歳の男性も国安法違反容疑で逮捕された。
香港は1日、中国への返還から23年を迎えた。警察は返還記念日恒例のデモの実施を禁止したが、民主派は前日の午後11時(日本時間1日午前0時)に施行された国安法への抗議デモを強行し、1万人超の市民が集まった。香港警察は国安法違反以外にも、違法集会などの容疑で1日夜までに約370人を拘束した。
香港政府の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は1日朝の返還記念式典で「香港が国家の安全を守るため歴史的な一歩を踏み出した」と演説した。(香港=益満雄一郎)
国家安全維持法、捜査に例外規定
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