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 感染拡大で休校していた学校の再開時期をめぐって、北関東3県で判断が分かれた。全面的な再開は、県によっては最大約1カ月の違いも。学習機会の確保と感染拡大防止のバランスをどうとったのか――。各知事の対応を検証した。

 学校再開について、3県の中で最も慎重だったのは群馬県の山本一太知事だ。

 4段階の警戒度によるガイドラインに沿って、県立学校は、6月1日から週2~3日の分散登校を始めた。6月15日から、通常登校が始まった。

 だが、最初の1週間程度は午前と午後のグループに分けた週5日の分散登校を続けた。全面的な登校再開は、早くて6月22日からの週までずれ込んだ。県は、公立小中学校でもこうした対応を参考にするよう、市町村に一律に要請した。

 週5日の分散登校には課題もあった。午前と午後に生徒たちを分けるため、授業時間が短縮され、登下校にかかる時間の方が長くなる生徒も出てきた。そのため、一部の県立高校では、1日おきの登校を実施した。県教育委員会は「それぞれ学校の事情に応じて通常登校に移行していただく」と理解を示した。

 授業の遅れをどう取り戻すのか――。県教委は、休校期間中も小中学生向けに授業動画をつくり、ユーチューブで配信したり、地元のテレビ局で放送したりしてきた。だが一方通行の授業で、子どもたちにどれほど有効に使われたかは分からない。県教委は一部の学校の児童生徒を対象に活用状況を調査しているという。

 小中学校については、夏休みを10日ほど短縮する案を各市町村教委に示している。それでも年間授業時間は、通常の2割減となる見通しだ。県は映像資料の活用などを呼びかけている。また、学習指導員を小中学校などに計616人配置する。

 山本知事は慎重な姿勢を貫いた理由について「新型コロナウイルスはまだ未知の部分が多い。負の影響も心配しているが(子どもたちの)命と健康を守ることが最優先だ」と説明してきた。感染した子どもに対応できる病床が限られることなども挙げ、「万が一、学校現場で感染が発生した場合の影響が大きい」とする。

 3県の中で学校再開が遅れたことについて知事は「状況が違うからそれぞれの判断でいい。群馬県独自の判断として適切だと思う」と述べている。(森岡航平)

     ◇

 栃木県の福田富一知事は、3県で最も早い登校再開を表明した。緊急事態宣言の解除を受けて県教育委員会は5月15日、休校期間を終えるタイミングを、1週間前倒しして5月24日までとした。県内すべての小中高校は25日までに登校を再開し、分散登校などを経て6月1日には通常登校の足並みがそろった。

 県教委は、県内で感染拡大の勢いが緩んだ4月末に学校再開の議論を始めた。

 当時、県内でクラスター(感染者集団)も発生していなかった。

 県立高校に限れば、5月11日から一部の高校ですでに段階的に分散登校を進めていた。県教委高校教育課は「学びを保障する観点から、早期の登校再開はスムーズに進められて良かった」と評価する。

 部活動も再開された。狭い空間での活動や生徒が近距離で組み合ったり接触したりする活動などは避けていた。しかし県は19日、7月1日から対外試合や室内での合唱、調理実習、近距離で接触する運動などについても、対策をとった上で実施できるとする方針を打ち出した。

 授業時数確保のために、夏休みは、通常より2~3週間短縮する。(池田拓哉)

 茨城県は、いつまで休校が続くと夏休みを全部使っても授業時数が足りなくなるかを試算していた。デッドラインは6月12日。

 大井川和彦知事は、その日付を意識しながらも、学校再開については客観性にこだわった。

 4月に休校対象を限定的にするとの方針を示したことを巡り、「リスクが大きすぎる」とSNSなどで批判されたためだ。

 感染状況などを判断基準に含めた4段階の出口戦略を、大型連休明けに発表。「完全収束は1年先か1年半先か分からないが、この考え方で対応できる」と自信をみせた。

 県立学校は休校中でも週1日の分散登校を続けていたが、5月18日からは、その回数を徐々に増やした。一斉登校は、6月8日から始めることができた。

 連休後半から新規感染がなくなり、学校再開にあたり、教育現場で目立った混乱はない。

 今後の課題は、県立学校での双方向のオンライン学習の普及率は37%にとどまる(6月1日現在)。ホームルームでのやりとりも含まれるため、授業を実施している学校はまだ少ない。(古源盛一)