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 新型コロナウイルスの影響で臨時休校していた宮城県内の学校が再開し、ひと月が過ぎた。各校とも感染予防に苦心する一方、子どもたちも新しい生活様式に徐々に慣れ、教室にははしゃぎ声が戻りつつある。

 石巻市の蛇田小学校では1日正午すぎ、4時間目の授業が終わっていないのに、教室から子どもたちが出てきた。向かったのは、廊下にある手洗い場だ。

 25クラスのマンモス校で、806人の児童が在籍する。約150人ずついる一つの階に蛇口は5個程度しかなく、全員が終えるのに30分近くかかる。授業が終わってからだと給食の時間が十分に取れないため、クラスごとに授業を順に中断し、手洗いに当てている。

 子どもたちも慣れた様子で、距離を保ちながらも、手洗い中に笑い声が飛び交う。児童全員がマスクをつけて授業に臨むという光景も今はない。文部科学省が6月半ばにマスクの取り外しについて「現場で臨機応変に対応することが重要」との指針を出したのを踏まえ、クラスによっては授業中に半数ほどが外している。

 校長の阿部淳(あつし)さん(57)がこの間、心配したのは子どもたちの内面だ。「親が失業したり、自営業の店の売り上げが落ちたりした家庭もある。しわ寄せは、立場の弱い子どもたちにいく。授業の遅れを取り戻すことよりも、まずは学校が楽しい場所だと子どもたちに思い出してもらえるように心がけてきた」

 私語が禁止だった給食も、全員の机が前を向いたままなのは変わらないが、6月半ばから「小さい声でなら」と会話を解禁した。1年1組の担任、原田真紀子さん(42)は言う。「再開当時には授業中に泣き出す子も多かったが、今はもう、すっかりにぎやか」

 塩釜市の月見ケ丘小学校ではこの日、「しおがまウイルスバスター隊」が活動した。フェースガードと手袋をしたマスク姿の男女4人で、ぞうきんを片手に、教室の机や椅子、廊下の手すりや手洗い場など子どもたちが触れた場所を次々と消毒していった。

 市シルバー人材センターに登録している60歳以上の男女で、市からの委託を受け、平日の夕方から市内の小中学校10校で校内の消毒作業をしている。近くの原田益子さん(71)は「低学年は机や椅子が低くて大変。でも子どもたちが安心して通えるためだから」と、汗をかいて曇ったフェースガードを拭った。

 活動は6月末までの予定だったが、同22日に市内で新たな感染者が確認され、8月まで延長になった。

 同校の教諭らは「本当にありがたい」と口をそろえ、感謝の気持ちは子どもたちにも広がっている。

 6年生の数人は6月中旬、感謝の手紙を手洗い場に貼った。手紙を書いた女児(11)は「ウイルスバスター隊さんのおかげで学校に来られるようになったのでお礼を言いたかった」。

 1日には、6年生4人で新しい手紙を書いた。「延長してくださりありがとうございます。夏休みがくるまで、わたしたちもがんばります」

 原田さんは「私たちのことを見ていてくれたんだとうれしい。疲れもふっとびます」と笑顔だった。(岡本進、窪小谷菜月)