新型コロナウイルスの第1波をきっかけに、障害のある人たちが「命の選別」を危惧しています。感染拡大により医療が崩壊する事態が起きたとき、障害者の命が軽視されることはないのか。今なお社会に残る優生思想や障害者の置かれた現状から、当事者たちは危機感を訴えています。
海外の事態 不安のきっかけ
新型コロナの大流行が今後起こったとき、自分の命を救うために力を尽くしてくれるのか。神戸市の石地かおるさん(52)は不安をぬぐえない。
筋力が徐々に弱る進行性の脊髄(せきずい)性筋萎縮症で、24時間介助を受け、車椅子を使う。呼吸器が特に弱い。感染した場合、早く適切に治療しなければ命が危うくなる。
不安のきっかけは第1波が世界を襲っていたころ、ネットやSNSを通じて知った欧米の動きだ。
海外メディアによると、米アラバマ州は人工呼吸器が不足した場合、障害や病気のある人にはつけない可能性があるとする指針を策定していた(後に指針は撤回)。米国の他の州でも、障害者らが救命治療を後回しにされると読める指針がある。英国立医療技術評価機構が公表した救命医療の指針に対しては、「身の回りのケアを他人に頼る人が治療を受けられない恐れのある内容だ」と障害者の親や人権団体が抗議し、指針は修正された。
海外の障害者団体は、ルーマニアの障害者施設における集団感染で、職員は医療機関で治療を受けたが、入所者は医療不足の施設に残され、対応の違いへの説明もなかったとして、ルーマニア政府に抗議した。
日本でも大流行による選別が…
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