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 第102回全国高校野球選手権大会と岩手大会の中止を受けた、夏季県高校野球大会が1日、開幕した。本格的な独自大会が始まるのは岩手が初めて。県内7地区のうち2地区で予選があり、沿岸北では宮古と宮古商工、北奥では水沢が県大会への出場を決めた。昨夏のシード校、専大北上は九回に2点本塁打などで1点差まで詰め寄ったが、水沢商に敗れ予選で姿を消した。2日は盛岡、沿岸南でも地区予選が始まる。

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 主将として、山田高校野球部としての意地だった。 「次はまっすぐが来る」鈴木陸翔(りくと)主将(3年)は四回表、初球に変化球が来て確信した。高めの直球を振り抜くと、打球はセンターの頭を越えてチーム初安打となる二塁打になった。

 3年生の部員は3人。入部してからずっと、連合チームとして大会に参加してきた。「いろいろな人と一緒に野球ができたのは楽しかった。でもやっぱり少し気をつかってしまったり、連係がうまくいかなかったりで……」。単独出場する他校の選手が少しうらやましかった。

 この春、新入部員が2人入って部員が6人になった。新型コロナウイルスの影響もあり、連合を組む学校探しにも難航していた5月、「単独で出よう」と千葉亮太監督と決めた。

 小学校や中学校で野球経験がある、ボート部と陸上部の3人を集めた。一緒に練習ができたのは約1カ月。それでも、同じ学校に通う仲間と9人で練習ができる喜びは大きかった。「練習試合に学校から一緒に出発して、戻ってくる。新鮮な感覚だった」

 これまで2回の夏の大会ではノーヒットに終わっていた。なんとかして最後の夏にヒットを打ってやろうと、冬場の走り込み、打撃練習に取り組んできた。

 鈴木主将にとって最初で最後の単独出場の夏は終わった。「悔いはないです。少人数で苦しいときも、辛抱していれば単独で大会に出場できるときがくる、と後輩たちに示すことができた」(中山直樹)