ロシア改憲、プーチン氏5選可能へ 領土交渉にも影響か

モスクワ=喜田尚
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 ロシアで憲法改正の是非を国民に問う投票が1日、即日開票され、暫定開票結果で賛成が8割近くに上り、改憲が成立することになった。2024年に任期終了を迎えるプーチン大統領(67)の続投を可能にする内容で、事実上20年続く政権がさらに2036年まで長期化する可能性が出てきた。また、改正憲法には「領土の割譲」を禁止する条文も盛り込まれ、北方領土交渉にも影響する可能性がある。

 投票は6月25日に始まった。中央選挙管理委員会によると、暫定開票結果は賛成が77・92%で、反対は21・27%。投票率は67・97%だった。結果を精査し、5日以内に確定する。

 現行憲法では連続3期が禁じられ、プーチン氏は次期大統領選に出馬できなかった。改正憲法では大統領就任は通算2期までとしたが、過去の任期をリセットする条項が盛り込まれ、プーチン氏はさらに連続で2期(12年)務めることが可能になった。

 プーチン氏は24年の次期大統領選への出馬について「可能性は排除しない」とする一方、明言を避けている。

 現体制はエネルギー、金融など経済の根幹分野までが治安機関出身者などプーチン氏と個人的に結びつく「盟友」らに支えられる。長期政権下でプーチン氏個人に権力が集中し、現時点で後継と目される人物はいない。

 プーチン氏は自らの出馬を可能にすることで後継者争いを抑制し、政策路線の継続と体制の維持を狙っているとみられる。

 また、領土問題をめぐっては「ロシアの領土の割譲に向けた行為を認めない」と明記された。一方で、「隣国との国境再画定は例外とする」とも付記され、日ロ間の北方領土交渉は例外とも解釈できる。

 ただ、政権はロシア国内で「ロシアの主権維持のための条文」と説明。「改憲は領土問題に終止符を打つ」(サハリン州知事)との声も出ており、交渉を違憲だとする世論が高まる可能性もある。世論を理由にロシアが日本に譲歩を迫れば、交渉はさらに難航しそうだ。(モスクワ=喜田尚)

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