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 25年前に米国人夫妻が80万ドル(約8600万円)で購入した印象派の絵画が、77年前にナチス・ドイツ占領下のフランスで没収された作品だったため、仏破棄院(最高裁)は1日、絵画を元の持ち主へ返すよう命じる判決を言い渡した。

 AFP通信によると、返却を求めていたのは、収集家だったユダヤ人男性の子孫ら。男性は1943年、フランスの画家カミーユ・ピサロの「エンドウの摘み取り」(1887年)などの所蔵品を、ナチスに協力していたフランスのビシー政権に没収された。

 作品はその後行方がわからなくなっていたが、1995年に米ニューヨークで競売にかけられ、米国人夫妻が落札した。夫妻は2017年にパリのマルモッタン・モネ美術館で開催されたピサロの回顧展に善意で絵画を貸し出したところ、ユダヤ人男性の家族らが発見。家族の訴えを受けた仏裁判所が返還を命じ、米国人夫妻が控訴していた。

 判決で破棄院は「没収されたものを合法的に所有することはできない」として夫妻の訴えを棄却。夫妻の弁護士は「ビシー政権によって犯された罪の代償をどうして彼らが支払わなければいけないのか」とこぼしているという。(パリ=疋田多揚)