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 新型コロナウイルスの影響で4月下旬から休業していた札幌市のホテルが、客室の一部を「アートルーム」に改装して7月に営業を再開した。地元の芸術家ら8組の一点モノの作品を客室に展示。宿泊客は気に入れば買い取ることもできる。ホテル業界を取り巻く環境は厳しいが、アートの力も借りてにぎわいを取り戻したい考えだ。

 市中心部の観光名所、札幌市時計台から徒歩2分のクロスホテル札幌。17階建て全181室のうち、9~13階の66室をアートルームに改装する工事を2月に始め、5月にオープンする予定だったが、新型コロナの影響で4月21日から全館を休業していた。

 アートルームは18~36平方メートルのツインが中心。客室の壁面には、北海道で活躍する8組の芸術家が手がけたオリジナル作品が1点飾られている。

 アイヌ民族の文様を北海道産のナラ材に彫り込んだレリーフ(アイヌ楽器奏者で切り絵作家のTOYTOY氏)、ヒグマやヒツジなど北海道の動物をモチーフにしたアクリル画(画家の高橋弘子氏)、「花押フェイス」と呼ばれる独自の技法のイラスト(デザイナーコンビのWABISABI)など56作品を通じて、北海道の文化や雰囲気を体感できるとしている。

 宿泊客は一晩過ごして気に入れば、一部作品をのぞいて購入も可能。ただ、いずれも一点モノで在庫がないため、新たに発注する作品がホテルに届き次第、展示品を受け渡すという。

 同ホテルでは2013年から毎年、期間限定で客室の一部をギャラリーとして貸し出すなど、地元の芸術家を支援してきた。今回のアートルームへの改装も、旅行者と芸術家をつなぐ取り組みの一環だ。

 新型コロナの影響でホテル経営は厳しい。予約の上限を50%に制限して館内の密集を防ぐなど、感染予防を徹底して宿泊客を迎え入れる準備は整えているが、にぎわいはまだ戻っていない。

 同ホテルの菊地茂樹総支配人は「アートを通じて地域の魅力を知るきっかけになる。日常とは違うぜいたくな気分を味わいに来てほしい」と話している。宿泊料金は1室(ツイン)2万円前後から。(長崎潤一郎)