無観客試合「あきらめも肝心」 熱狂的ファンどう過ごす

上山浩也
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 第102回全国高校野球選手権大会の中止に伴い、愛知県高校野球連盟主催で開催される独自の「夏季愛知県高校野球大会」が7月4日に始まる。原則的に無観客で行われる今大会。ツイッターなどで県内の高校野球について発信している熱心な高校野球ファンからは「球場に行きたかったけれど、あきらめも肝心。精いっぱい頑張ってほしい」との声が上がる。

 今大会の組み合わせ抽選会があった6月20日の夜。愛知県岡崎市内の店には、県内の高校野球の試合や練習風景をツイッターなどで発信している高校野球ファン4人が集まっていた。

 抽選会後の集合はここ数年の恒例行事。例年ならトーナメントの予想をしながら、それぞれの行き先を話す。ツイッター「@愛知県高校野球◎VICTORY⑧⑨(@NIKE_VICTORY_89)」の竹岡秀修さん(51)は「1年で一番楽しいのがこの時期。甲子園より、1年通して見てきた選手がいる愛知大会の方が楽しいんですよ」。ツイッター「takayuki(@2199takayu1)」の高木則之さん(53)も「選手や監督だけでなく、親も知っていますからねえ」とうなずく。

 だが、この夏は無観客で大会が行われる。「最初は球場の周辺に行ってみようと思っていたけれど、県高野連のホームページには、それも控えるようにと書いてありましたからね」と竹岡さん。「試合後に球場の外に出てきたところで勝ったら『おめでとう』とか話したかったけれど……。だから、最後のお別れというつもりで、大会前の練習試合とかに行こうと思って。あとは、テレビで見るしかないと思っています」

 今夏は、部員の移動距離が少ないように大会序盤は各地区に分かれて戦う。竹岡さんは「こういう事態なので移動が少ないようにという策は、いいことだと思います。それに、近くの学校と当たる方が小中学校までのチームメートとの対戦がすぐにやれる。3年生にとって、小中学校の頃の仲間と、それぞれ違うユニホームを着て最後の夏に直接戦うという試合が多くなりそう」と話した。

 ツイッター「HALUHI@愛知高校野球・中学野球(@Iambanekko)」の太田陽彦さん(35)は、「お互い知り尽くした者同士の戦いも見どころだと思う。各地区に分かれたことで、ベスト8には名古屋、東三河西三河、尾張の学校が必ず進める。強豪がいるゾーンもあるけれど上位進出のチャンスがいろいろとあると思います」。

 愛知の中で「上位に進んだという実績を後輩に残せるチャンスでもある」とはツイッター「テムテム@野球垢(@temu89love)」の寺村登茂樹さん(24)。そして、「今年は普段のように練習ができていないので、やり慣れている地元の球場で試合ができるのはいいことだと思います」と話した。

 竹岡さん、太田さん、寺村さんは元球児。高木さんは球児ではなかったが、小学生の頃から野球観戦が好きで、以前スタンドでスコアブックをつけていたという。「球場で試合を見て、日記感覚でスコアをつけていた。そしたら、みんなと球場でよく会うようになって、そのときに写真とかも『やってみたら』って誘われたんです」と笑う。

 ファンの出会いの場にもなっていた球場。今夏は保護者と控え部員だけの限られた観戦者になるが、また多くの人でにぎわう場になればと思う。(上山浩也)

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