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 京都大iPS細胞研究所などのチームは、筋肉の力が衰える難病「デュシェンヌ型筋ジストロフィー」を再現したマウスに、ヒトのiPS細胞からつくった筋肉のもととなる細胞を移植し、筋肉を再生した。今後、実用化をめざす。研究成果が3日、米科学誌ステム・セル・リポーツ電子版(https://doi.org/10.1016/j.stemcr.2020.06.004別ウインドウで開きます)に掲載された。

 この難病は遺伝子の変異が原因で、たんぱく質「ジストロフィン」が作れなくなり、筋力が落ちる。国内の患者は約5千人とされる。今年3月に新薬「ビルテプソ」(一般名ビルトラルセン)が承認されたが、治療対象は限定的なのが現状だという。

 チームは、様々な細胞になれるヒトのiPS細胞を胎児の成長過程を模して培養し、筋肉のもととなる骨格筋幹細胞に、効率よく変化させることに成功。難病を再現したマウスの右脚に、約30万個の骨格筋幹細胞を注射したところ、ジストロフィンがつくられ筋繊維になり、筋肉が再生した。

 注射した右脚は何もしなかった左脚と比べて、筋力が8%程度高く、病気の悪化を食い止めることができた。

 チームの櫻井英俊准教授は「長期間の安全性の確認など課題はあるが、治療法としてのポテンシャルがあることを示せた」と話している。(野中良祐