アンチョビはやみつきの調味料、オクラと合わせて

編集委員・長沢美津子
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ごはんラボ オクラのアンチョビソース

 うまみたっぷりの素材を賢く使うシリーズの2回目、主役は「アンチョビ」です。主にカタクチイワシを使った塩蔵品で、缶や瓶に詰めて売られています。イタリア料理とともに身近になりました。

 魚介を塩蔵・熟成するところは、ナンプラーなどの魚醬(ぎょしょう)と同じ。おいしい調味料と考えれば用途が増えます。今回は熱い油で身がほぐれるのを利用し、オイルソースに仕立てました。

 どんな野菜にも合いますが、旬のオクラは、丸ごとゆでるだけで気楽。焼いて皮をむいたパプリカやナスもおすすめです。

 調理のポイントは、熟成した魚のにおいを、くせではなく魅力にすることです。ニンニクとのペアは、熱し過ぎると苦みが出て品が悪くなりますが、手前でとどまればかぐわしく、やみつきになる魔力を発揮します。

 もう一品は「アンチョビバター」を甘酸っぱいトマトとトーストにしました。ぜひビールやワインと楽しんでください。(編集委員・長沢美津子

オクラのアンチョビソース

監修:有馬邦明(パッソ・ア・パッソ)

材料(2人前)

□ オクラ 1袋(10本)

□ アンチョビフィレ 1枚

□ ニンニク 小1片

□ 唐辛子 1本

□ オリーブ油 小さじ2と1/2

【作り方】

①オクラを洗って、がくの硬い部分を包丁でくるりとむく。

②ニンニクはつぶしてから粗いみじん切りにする。アンチョビも粗く刻む。

③鍋に湯を沸かして1%の食塩濃度(水1リットルに塩10g)になるよう塩を加える。オクラを入れて10秒ほどでボウルに引き上げる。余熱で軟らかくなるが、より軟らかいのが好みならば、ゆで時間を20秒にする。

④小さめのフライパンにオリーブ油と刻んだニンニクを少量入れて弱火にかける。音がしてきたら油が温まった合図。残りのニンニクとアンチョビを入れて焦がさないように加熱する。フライパンを回すように動かし、アンチョビが溶けていい香りが立ってきたら唐辛子を入れる。

⑤オクラの上に熱いソースをかけて混ぜる。

【動画】オクラのアンチョビソース=合田昌弘撮影

※1人前約75kcal、塩分0.9g

 (栄養計算:女子栄養大学栄養クリニック)

アレンジ アンチョビバターのトマトパン

 アンチョビバターは作りやすい量で、バター50g、細かく刻んだアンチョビフィレ1枚、ニンニク小1/2片分のみじん切り。バターを室温で軟らかくして全部をよく混ぜ合わせる。切ったフランスパンの表面にアンチョビバターを塗り、ミニトマトを半分に切ったものを並べる。トマトの表面に砂糖をほんの少々振り、オーブントースターで焼く。

Cookery Science

写真・図版

 魚が死ぬと内臓や筋肉に含まれる酵素が働いて、筋肉のたんぱく質を分解する「自己消化」が始まる。この時に生魚のうま味成分のイノシン酸はなくなっていくが、分解によってグルタミン酸が多くでき、うま味は大きく増す。アンチョビはこれを利用して、長期間熟成させる。(監修:川﨑寛也)

Topic うまみとうま味はどう違う?

 ごはんラボの記事中では「うまみ」と「うま味」を使い分けています。

 うまみは「うまい」(漢字では美味い、旨い。『甘い』の語源とも)の名詞形で、食べものの味やにおいから感じる総合的なおいしさやその度合いを指します。今回のアンチョビも風味豊かでうまみの強い素材です。

 うま味は、甘味、酸味、塩味、苦味と並ぶ基本的な味の要素のこと。具体的にはグルタミン酸やイノシン酸を味わうと感じられます。甘味が砂糖など活動するエネルギーのシグナルなのに対し、うま味の成分は肉や魚に含まれ、体を作るのに必要な、たんぱく質のシグナルだと言われます。