[PR]

 熊本県人吉市などを浸水させた豪雨は、梅雨末期に繰り返し発生してきた線状降水帯によってもたらされた。そこに急勾配な川と平地が狭い地形が重なり、球磨川の上流から下流まで至るところで氾濫(はんらん)が相次ぐ結果になったとみられる。

 線状降水帯は、積乱雲が次々と発生して帯状に並ぶことで、同じ地域に激しい雨が降り続ける現象。防災科学技術研究所(茨城県)の清水慎吾・主任研究員によると、今回は、九州に停滞していた梅雨前線に、水蒸気をたっぷり含んだ暖かい風が流れ込んだことで発生した。現状で予測は難しいといい、清水さんは「前線の位置は変化しやすく、数時間ごとに予報が変わる可能性もある」と話す。

 さらに、今回はその線状降水帯が球磨川の流域と重なった。

 九州は毎年のように線状降水帯による豪雨被害に襲われており、2017年の九州北部豪雨でも筑後川流域で被害が出ている。ただ、この時に豪雨が集中したのは筑後川の中流の一部くらいで、支流は氾濫したものの本流は無事だった。九州大の小松利光名誉教授(河川工学)は「今回は球磨川の流域の広い範囲で豪雨が降ったため、上流から下流の至るところで水があふれた」とみる。

 球磨川は山を縫うように流れ、流れが急で、川の周りの平地も狭い。九大の島谷幸宏教授(河川工学)は「大きな堤防をつくると住む場所がなくなってしまうので、洪水対策がしづらい」と話す。特に、人吉市のような盆地の下流は川幅が急に狭くなり、水位が上がりやすいという。

 球磨川流域の自治体と防災計画(タイムライン)を策定してきた東京大の松尾一郎・客員教授(防災行動学)によると、球磨川は以前から氾濫を繰り返してきた。人吉市と球磨村、八代市でタイムラインを運用していたが、今回は水位が一気に上がったとみられる。「川の水位はまだ高く、再び雨が降ればまた氾濫する恐れがある。山間部の地面は水をたくさん含んでおり、雨がやんでも土砂災害の可能性がある。引き続き警戒が必要だ」と話した。(竹野内崇宏、藤波優)