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 新型コロナ禍の中、疫病よけの伝説がある江戸時代の妖怪アマビエが、滋賀県内に「出没」している。滋賀発祥の飛び出し坊や、名寺の絵馬、連凧(だこ)、かまぼこ……。各地にゆかりの形で終息を願っている。

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 ドライバーに歩行者への注意を呼びかける「飛び出し坊や」に、アマビエが加わった。大津市南小松の近江舞子水泳場近くのホテル「琵琶レイクオーツカ」前にある。

 ベニヤ板製で高さ120センチ、幅60センチ。4月25日からコロナ禍で営業自粛になり、山極(やまぎわ)明宏支配人(53)が明るい話題になればと発案し、社員5人が約1カ月かけて手作りした。

 山極さんは県内外の飛び出し坊やの写真を撮るのが趣味で、コレクションは1千枚超。一方で水泳場に行く客がホテル前の道路を渡る様子が気になっていた。

 ホテルは消毒液の設置などの対策をとって営業を再開し、今月16日まで県民向けの割引プランもある。山極さんは「アマビエ飛び出し坊やと共にお待ちしています」。(新谷千布美)

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 天台寺門宗の総本山・三井寺(大津市園城寺町)の観音堂では、お守りなどの授与品に、疫病退散祈願の「アマビエさま絵馬」(500円)が登場した。

 絵馬の中央に、正面を向いた姿が描かれている。6月10日から扱い始め、約100枚が参拝者の手に渡った。「疫病退散三箇条」として、外出時はマスクをする▽手洗い・うがいをする▽この絵馬を玄関や出入り口に掛けておく――を掲げる。

 授与品が並ぶ中に、信者手作りのアマビエ人形もつるす。梅村敏明(びんみょう)執事は「家族も感染しないようにと願う方が多いようです」。(筒井次郎)

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 世界凧(たこ)博物館東近江大凧会館(滋賀県東近江市八日市東本町)で、アマビエの連凧(10連)が展示されている。疫病退散を願う日本各地の凧の展示の一つだ。

 東京都葛飾区の凧愛好家が制作し、6月20日に50連凧として揚げたばかり。疫病を予言し、朝夕拝めば難を免れると山梨県に伝わる双頭の「ヨゲンノトリ」の凧も作り、動画(https://youtu.be/YKfMrISsaVo別ウインドウで開きます)で公開している。

 8月24日まで。水曜日と8月11日休み。一般300円など。問い合わせは同館(0748・23・0081)へ。(阿部治樹)

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 滋賀県警長浜署の八幡東交番などに、アマビエと署のマスコット「ひよたん」を融合した新キャラクター「あまひよ」が登場した。

 ひよたんと同じ黄色い肌とくちばし、アマビエと同じ長い髪と鱗(うろこ)模様が特徴。5月に紙粘土とペットボトル製の人形(高さ15センチ)を作り、のぼり旗を持って特殊詐欺への注意を呼びかける。交通安全の願いを込めた七夕飾りも作った。

 手がけたのは同交番の嶋田菜摘巡査長(26)。新型コロナ関連の給付金手続きを装う不審な電話が相次いだのがきっかけという。「コロナウイルスにも、詐欺や事故にも気をつけて」

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 魚肉ねり製品製造会社「カネ上(じょう)」(滋賀県長浜市平方町)がアマビエのかまぼこを作り、給食の食材として提供した。

 コロナ禍で気持ちが沈みがちになる中、子どもたちが笑顔になればと企画。目をつぶらにするなどかわいらしさにこだわった。

 6月に市内の小学校や保育園など65校園(約1万2500人)に約200キロ分を提供した。牛丼や親子丼などの具材に使われ、「かわいい」と評判だった。

 喜んで食べる子どもの写真が同社に届き、担当者は「逆に励まされました」。一般販売の予定はない。(松浦和夫)

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 アマビエ 江戸時代の弘化3(1846)年、肥後国(熊本県)で海中から現れたとされる妖怪。長い髪やくちばし、鱗に覆われた胴体などが特徴だ。この先6年間の豊作を予言し、「疫病が流行したら、私の姿を絵に描いて人々に見せよ」と告げたとされる。