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 消化管ポリープの発生を特徴とするイヌの病気を岐阜大学の平田暁大助教、酒井洋樹教授(獣医病理学)らのグループが調べたところ、新しい遺伝病「遺伝性消化管ポリポーシス」を発見した。今後、ヒトとイヌの遺伝病の比較から、ヒトとイヌ両方の発がんメカニズムの解明につながる可能性がある。

 遺伝性消化管ポリポーシスは、ジャックラッセルテリアという犬種だけで発生する病気で、ポリープができた場所によって症状が変わり、胃の場合は嘔吐(おうと)、大腸の場合は血便などの症状が出る。

 通常のイヌの消化管腫瘍(しゅよう)よりも予後が良く、致死性ではない場合がほとんどだが、治療法は確立されていない。現状ではポリープを外科的に切除していることが多いという。

 近年、ペットブームを背景にイヌやネコの遺伝病が増加している。岐阜大のグループは、岐阜大動物病院での診察を通じてジャックラッセルテリアで消化管ポリープの症例が増加していることに気づき、2015年に研究に着手した。

 ポリープには腫瘍性ポリープと非腫瘍性ポリープ(炎症性ポリープなど)がある。ジャックラッセルテリア21頭を調べたところ、ポリープはいずれも腫瘍性で、多発することが多く、若齢での発生が見られることなど、通常のイヌの消化管腫瘍と異なる特徴があることがわかった。

 ヒトの家族性大腸腺腫症と類似している点に着目し、原因遺伝子のAPC遺伝子について調べたところ、イヌでも先天的遺伝子変異が見つかり、新たな遺伝病だとわかったという。

早期発見に期待

 遺伝子検査で確定診断できれば、再発に注意したり、早期に発症に気づけたりして、より適切な治療を行える。

 また、ブリーダーが繁殖に用いるイヌの遺伝子検査をして、遺伝子変異が次世代に引き継がれないように繁殖することで、将来的にはこの遺伝病を撲滅できるという。

 平田助教は「イヌの場合、胃の腫瘍が多いことに注目している。イヌで胃の腫瘍発生を促進している因子をみつけることができれば、ヒトの発がんメカニズムの解明にもつながる可能性がある」と話している。

 論文は英国のがん研究の国際誌Carcinogenesis(電子版)に掲載された。(山野拓郎)