[PR]

 5月末まで約3カ月に及んだ臨時休校による学習の遅れを取り戻そうと、神奈川県山北町教育委員会は7月10日から、高校受験を控えた町立中学校3年生の希望者を対象に、公設の学習支援塾を無料で始める。運営は町内で広域通信制の鹿島山北高校を経営する株式会社山北学園に依頼。高校の教職員を講師に派遣してもらう。塾は来年1月まで計24回開く予定だ。新型コロナウイルス対策での公設塾の開講は、県内でも珍しい。

 町内には町立の小学校2校、中学校1校があり、町教委によると中3は65人いる。公設民営となる学習支援塾「やまきた塾」は、20人を定員に受講生を募集。6月末までに14人が受講を希望している。今後も定員内なら随時、受け入れる方針だ。苦手意識を持つ生徒が多いという数学と英語を中心に、2クラスで開講する予定だ。

 塾は主に金曜日の午後5時半~7時20分に2教科ずつ、町役場に隣接する町立生涯学習センターで開く。7月は10、17日の2回、8月以降はほぼ毎週開く。学習内容は町教委と高校側が緊密に連携。受講生の学力を見極めながら、臨機応変に組み立てる方針だ。

 鹿島山北高校は、町中心部から離れた丹沢湖畔にある。国から教育特区の認定を受けた町が株式会社立の学校設置を認可し、閉校した旧三保中学校の校舎などを活用して2017年9月に開校した。

 公設塾の構想は、小中学校の休校が続いていた4月に町教委で浮上。5月の大型連休明けごろに高校側に話を持ちかけて具体化した。6月の定例町議会で、関係費用47万6千円が盛り込まれた一般会計補正予算が成立した。

 山北町教委の石田浩二教育長は「高校入試を控えた生徒や保護者の不安を少しでも解消するため、何ができるかを考えた。生徒たちが希望校に入れるように応援したい」と話す。来春には小学校も1校に統合されるが、「少子化のなかでも、子どもたちのためにしっかりとした教育をして、山北で育って良かったと思ってほしい」。新型コロナウイルスによる経済的打撃に配慮して、塾は無料にした。

 鹿島山北高校にも、地域貢献以外のメリットがある。広域通信制の新しい高校で町内の中学生へのなじみはまだ薄く、やまきた塾を通じて知ってもらう意味は大きいという。松尾洋佑教頭は「まずは、どんな先生がいるのかを知ってもらい、信頼関係をつくりながら、生徒たちの学力に合わせた学習を進めていきたい」と話している。(豊平森)