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 2013年の生活保護費の引き下げは基準の決定手続きに問題があったなどとして、愛知県内の受給者が国や名古屋市など3市を相手取り減額処分の取り消しを求めた訴訟で、原告側は7日、請求を棄却した一審・名古屋地裁判決を不服として控訴した。

 控訴したのは、一審の原告18人のうち17人。

 生活保護費をめぐっては、国が13年、「生活扶助」の支給額について、3年かけて1世帯あたり最大10%引き下げ、約670億円削減する方針を打ち出した。厚生労働省は独自の判断で物価の下落率を計算し、基準額に反映した。

 原告側は、こうした基準額の決め方が、専門家でつくる社会保障審議会・生活保護基準部会で議論されておらず、下落率が大きくなるよう恣意(しい)的な計算方法が用いられ不当と主張。厚労相の「裁量権」に逸脱があったと訴えていた。

 6月の一審判決は、厚労相の判断は妥当で、手続きに違法性はなかったと認定。生活保護費の削減が12年末の衆院選で自民党が掲げた選挙公約だったなどと原告側が指摘していた点については、「自民党の政策は、当時の国民感情や国の財政事情を踏まえたもの。厚労相は基準改定に考慮できる」とした。

 7日の控訴後、取材に応じた弁護団の森弘典弁護士は、一審判決で、基準改定にあたって厚労相が「国民感情」を含めて考慮できるとした点を問題視。「生活保護法の規定を無視している」と批判した。名古屋市に住む原告の安藤美代子さん(68)は「毎日の生活がどれだけ大変かわかっていない。納得できない」と話した。(大野晴香)