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 クレジットカード決済で商品を買えば、利益を上乗せして返金する――。岡山県赤磐(あかいわ)市の「西山ファーム」=破産手続き中=が、近く破綻(はたん)すると分かりながら、そんなふれこみで違法に資金を集めていたとして、関西在住の投資者ら17人が13日、同社の代表取締役らを相手取り、総額約6430万円の損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こす。弁護団によると、今回が第1次提訴。名古屋地裁を含め、約180人が訴訟を準備中という。

 訴えるのは大阪、兵庫、奈良、大分の4府県に住む20、30代の男女。昨年2月ごろに入金が止まったとして、それぞれ50万~1215万円の被害を訴えている。被告は西山ファームの代表取締役のほか、決済代行会社「GMOペイメントゲートウェイ」(東京都)の当時の執行役員ら。法人としての両社も提訴する。

 原告の一人で、約740万円の賠償を求める大阪市の女性会社員(29)は「怪しいと気づけなかった自分が情けないし、何より誘ってしまった友人に申し訳ない。とにかく返金してほしい」と取材に話した。

 2017年2月、知人に誘われ、西山ファームが指定するネットショップからカードで商品を買い始めた。初めは桃やブドウ、その後は野菜、米、化粧品を購入。商品が自宅に届くことはなかった。

 購入した商品を海外で転売すると、数倍の値で売れてもうかる。それで農場を広げたい――。西山ファーム側にそう説明され、「投資」に応じたという。納品書だけが入った空の段ボールが2回届いたが、「実際に商品が動いているようにみせるため、偽装工作をしたのだろう」とみる。

 決済額は当初、月々数十万円だったが、代金と数%の配当が入金され、カードのポイントもたまるので、次第に増額した。最終的にカードを9枚に増やして限度額まで使い、月に400万円近くを決済するようになった。入金が途絶え、自己破産を検討している。

 大阪府内の地方公務員の男性(33)も原告の一人で、約600万円の被害を訴える。月給は手取りで30万円ほどで6割近くを返済に回している。「ぎりぎりの生活で、だいぶ無理をして返している。許せない」と憤る。商品が届いたのは1度だけ。保湿ジェルだった。届いたら送り返してほしいと言われたが、そのままにしていたという。

 弁護団長の角谷(かどや)篤人(あつひこ)弁護士(大阪弁護士会)は「破綻必至の商法にもかかわらず、手元に資金がなくてもカードを切ればもうかると誘い、経営難になっても決済をさせ続けたのは悪質で違法性がある。この仕組みは決済代行会社の協力なしでは成り立たず、その責任も重い」と指摘する。

 西山ファーム側はこれまでの取材に「訴えられるような業務はしていない」と回答。決済代行会社は「投資スキームの構築に関与した事実はない」と話す。

 西山ファームをめぐっては名古屋地裁で6月、別グループの41人が計約3億2500万円の返還を求めて提訴。東京や岡山地裁でも提訴の動きがある。(市原研吾)