「どうして何度も」大分で再び豪雨、復旧へ歩み出す矢先
九州で続く豪雨は被害をさらに広げた。8日未明にかけて再び雨が激しくなった大分県では、日田市の筑後川の上中流部が7日に続いて氾濫(はんらん)するなど、各地で浸水や土砂災害が相次いだ。由布市では複数の人が行方不明になっている。
気象庁によると、玖珠(くす)町玖珠では午前1時40分までの24時間雨量で310・0ミリを観測するなど、県内2カ所で観測史上最大を更新した。由布市湯布院など3カ所で7月の雨量としては最大となった。
由布市湯布院町では8日午前0時ごろ、「川に車が流されて、木の上に1人が登って助けを求めている」と119番通報があった。
市消防本部によると、助けを求めている女性から連絡を受けた女性の親戚が通報した。車には、助けを求めた女性のほかに3人が乗っていたという。消防本部などが4人を捜している。
大分川が氾濫した同市挟間町では、40代男性が行方不明になっている。7日夜からコインランドリーに出かけたまま自宅に戻らず、家族が8日朝、県警に捜索願を出した。
竹田市直入町上田北では8日午前5時半ごろ、民家の裏山が崩れた。この家に住む80代の姉弟が流れ込んだ土砂に生き埋めになったが、午前7時半までに消防に救助された。2人とも意識はあるという。
筑後川と支流が合流する日田市中心部。同市北友田3丁目で川沿いの2階建て住宅に住む山崎ひとみさん(60)は8日朝、泥水が残る自宅をのぞいて肩を落とした。筑後川は2日続けて氾濫し、自宅の中はひざの高さまで浸水した。
親戚に手伝ってもらって半日かけて床の掃除を終えたばかり。親戚宅で一晩過ごしたが、「夜中の警報が心配で眠れなかった」。一夜明け、外に出していた家具は跡形もなく流されていた。「どうして何度もつらい思いをしなければいけないのか。体力的にも精神的にも疲れました」
近くのアパート1階で一人で暮らす藤田いつみさん(57)は、知人らと泥をかぶった家具を運び出していた。7日の豪雨ではテレビなどが壊れたが、「掃除すれば、まだまだ住めるはずだった」。8日朝、避難先から戻ると、冷蔵庫もタンスも倒れ、中に入っていたものが散乱していた。
「昨日の雨で覚悟はしてたけど、これじゃ暮らしていけない。雨が怖くてしかたない」
日田市の天ケ瀬温泉街では8日朝、道路が大きく陥没し、流された車が横たわっていた。創業190年の旅館「天龍荘」の前には10メートル超の流木2本が流れ着き、7日にいったん掃除した1階ロビーが再び泥だらけに。「どうしたもんかな。さすがに意欲がわかない」。社長の大庭龍一さん(68)は力なくつぶやいた。
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