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 全国各地で豪雨災害が続き、秋田県内の自治体も避難所での新型コロナウイルス対策を急いでいる。密閉・密集・密接の「3密」を回避するには、どうしたらいいのか。8日には公民館の職員らが避難所運営を体験する研修会があり、感染症への備えを確認した。

 県教育委員会が秋田市の県生涯学習センターで開いた研修会のタイトルは「公民館と防災~新型コロナと避難所~」。公民館で働く市町村職員ら約30人が感染症リスクに対応した避難所運営のあり方を学んだ。

 講師を務めた日本赤十字秋田短期大学の及川真一講師(防災教育)が強調したのは、職員自身が想像力を働かせ、事前に何を準備できるか考えることだ。

 「これまで避難所で3密は当たり前。体育館で肩を寄せ合い、食料を素手で渡し合い、同じドアノブを使っていた。でもコロナ前とコロナ後では避難所のレイアウトも変わるはずです」

 避難所といえば体育館、といった従来の発想を転換し、教室ごとに発熱者や要支援者を分けて収容し、動線を分けるなど、感染リスクを下げる工夫を求めた。

 日赤秋田短大も指定避難所の一つで、災害時の計画では体育館に430人を受け入れる。だが避難者同士の距離を2メートルずつ空けると100人しか収容できない。及川講師が提案したのは、天井部分がない室内型のテントの活用だ。重くてかさばる段ボールを使わなくても間仕切りができ、避難者同士の距離を縮めることができる。ホームセンターで売られているプラスチック製の板も紹介した。

 クリアファイルにはさみで切り込みを入れ、フェースガードを作る方法も紹介。「物資がなければ、ないなりに、理想に近づくアイデアを」と訴えた。

 参加者が2班に分かれ、避難者と、それを受け入れる避難所の運営スタッフを両方体験するワークショップも行った。避難者の手をアルコール消毒し、非接触型の体温計で検温。受付場所にもビニールを張り、発熱者や障害者、日本語が不自由な外国人らをそれぞれの状況に応じて誘導した。

 鹿角市尾去沢市民センターの高杉政人所長は「同じ市職員でも、コロナへの意識にばらつきがある。災害が起きれば、どの部署の職員も避難所にいく可能性があるので、今回の経験を伝え、共有していきたい」と話した。(佐藤仁彦)

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 避難所で新型コロナウイルスの感染が広がるのを防ぐため、県も5月、運営マニュアルの作成指針を作り、市町村に通知した。一つの避難所で受け入れられる人数が減ることから、臨時避難所の確保を検討し、できる限り避難所を増やすよう提案。県によると、これまでに6市町村が指針を参考にマニュアルを改定した。

 大仙市は先月、新型コロナウイルスに対応した新しい避難方法を周知するチラシを発行し、全戸配布した。この中で同市は「避難所内での過密状態を避けるため、その他の避難方法もあらかじめ決めておきましょう」と呼びかけた。

 具体的には、在宅避難や親戚・知人宅への縁故避難、車中泊を挙げ、避難所を利用する人の分散を促した。発熱・せきなどの症状がある人を受け入れる専用スペースを設ける避難所の名前も載せた。非常持ち出し品としてマスクやウェットティッシュのほか、内履きの準備も求めた。

 同市総合防災課は「避難所にも消毒液などの備蓄はあるが、足りなくなる可能性もある。不特定多数の人が使うスリッパよりも、自分専用の内履きを使った方が、感染リスクも減らせる」と話す。(佐藤仁彦

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 佐竹敬久知事は8日の新型コロナウイルス対策本部会議で、九州を中心とした豪雨被害に言及し、「秋田でもいつこういうことが起きるか分からない。県民の間には、洪水があってもしばらく犠牲者が出ていないので秋田は安心だという意識があるようだが、今までの常識は通じない」と指摘。「コロナ(の感染防止)も十分配慮して避難所の態勢を準備するよう、特に市町村にお願いする」とした上で、「(感染対策の)準備が万全に整えられない場合でも、まずは命のほうが大事。急激な水害が勘案される場合は、まず避難を第一に考えて行動を」と県民に呼びかけた。(野城千穂)

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