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 カウンター越しにビールを注文し、知らない人とも交流できる英国伝統の大衆酒場、パブが苦境にある。パブは新型コロナウイルスの影響で3月下旬から休業していたが、ロンドンを含むイングランド地方では4日から営業再開が認められた。だが、立ち飲みは禁止され、「社会的距離」の確保も求められる。親密さが売りのパブ文化は危機にあり、採算面も厳しくなっている。(ロンドン=下司佳代子)

拡大する写真・図版テーブル席のみになったパブ「ハンサムキャブ」で乾杯する人たち。店員はマスクをしている=ロンドン・ケンジントン地区、下司佳代子撮影

 英国のパブは、3月20日のジョンソン首相の演説で「可能な限り早く」閉鎖するよう求められ、持ち帰り以外の営業は禁止された。

 再開にあたりネックになっていたのが、英国政府が社会的距離に設定していた「2メートル」のルールだ。世界保健機関(WHO)の推奨は「少なくとも1メートル」。既に飲食業の営業を再開したフランスやデンマークなども1メートルの社会的距離を採用している。距離を1メートル多くとるごとに感染リスクは半減するとされ、欧州最多の4万4千人超の死者を出している英国では、政府に助言する科学者が慎重姿勢を崩さなかった。

 業界団体の英ビール・パブ協会(BBPA)は6月の声明で、2メートルのままではイングランド地方のパブの3分の1にあたる1万2500軒しか営業再開できないと指摘。1メートルになれば75%にあたる2万8千軒が再開できるとして、ルールの見直しを求めた。こうした声に押される形で、ジョンソン首相は23日の英議会で、1メートルへの変更を発表した。

 4日の営業再開は英国内の4地域のうちイングランドのみで、北アイルランドはすでに再開し、あとの2地域も順次再開している。

 英国のパブの起源は古代ローマが進出した2千年ほど前にさかのぼるといわれる。ジョンソン首相は3月の記者会見で、パブに行くことについて「英国の人たちが持って生まれた、古代から存在する譲渡不可能な権利だ」と語り、重要性を強調してきた。

 英国社会は階級による分断が残るとされる。ラフバラー大学のトーマス・サーネルリード上級講師(社会学)は、パブの存在について「人々がより平等になる場所。英国文化のアイコンだ」と指摘する。

 「カウンターで注文して立った…

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