世界有数の貿易拠点として発展してきたシンガポール。いま、官民で力を入れているのが国内での食料増産だ。もともとは気候変動による将来の食料不足をにらんだ戦略だったが、新型コロナウイルスの感染拡大による各国の国境封鎖で、さらに危機感を強めている。(シンガポール=西村宏治)
うすく濁った水の中に目をこらすと、黒い魚影がビュン、とはねるように動いた。
「ハタです。日本でも高級魚でしょう。水を透明にするとけんかするので、少し濁らせています」。水産会社アポロ・アクアカルチャー・グループのエリック・ウン最高経営責任者(47)が説明した。
拡大する屋内の養殖施設を説明するエリック・ウン最高経営責任者=2020年5月19日、シンガポール、西村宏治撮影
シンガポール北部にある同社の屋内養殖場。2階建ての1階には広さ146平方メートルの養殖池が二つと、海水のリサイクル施設が並んでいた。バクテリアなど微生物の働きで生育環境を整え、化学薬品を使わない環境管理が売りだ。
1969年創業の同社は長年、観賞用の淡水魚の養殖と輸出を手がけてきた。淡水で培った水の管理技術を生かそうと、食用の海水魚の養殖に挑戦し始めたのは2011年ごろから。屋内ならより安定した環境で養殖ができる、との思いもあったという。
「絶対に失敗する」。同業者ら…
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朝日新聞国際報道部