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 日本銀行は9日、全国の景気動向をまとめた「地域経済報告(さくらリポート)」を公表した。新型コロナウイルスの影響で、前回4月に続いて全9地域で景気の総括判断を引き下げた。2四半期連続の全地域引き下げは、リーマン・ショック直後の2008年10月と09年1月以来の11年ぶり。地域経済が急激に冷え込んでいる。

 北海道から九州・沖縄までの9地域の景気判断は、前回多かった「弱い動き」「下押し圧力の強い状態」などの表現から、今回は「大幅に悪化」「厳しい状態」などに変わった。

 前回は外出自粛の影響を受けた個人消費の落ち込みが響いた。今回は設備投資など幅広い項目で悪影響が表れた。個人消費と雇用・所得の判断は全地域で、生産や設備投資、住宅投資の判断は7~8地域で引き下げられた。個人消費の全地域引き下げは2期連続で、さくらリポートが始まった05年4月以来初めて。

 緊急事態宣言の解除など国内外で経済活動が再開しており、清水季子・名古屋支店長は会見で「足元で改善に向けた動きがいくつか確認できる」と述べ、自動車などの輸出回復や期間従業員の募集再開に触れた。

 ただ、リポートで紹介された企業の声には「県外客は徐々に戻ってきているが、持ち直しの動きはきわめて弱い」(金沢・宿泊)などの声も。九州では豪雨被害も広がり、宮下俊郎・福岡支店長は「観光関連で温泉地で大きな被害が発生しているので旅行マインドの低下につながる可能性があり、先行きに注視していきたい」と話した。(寺西和男)

さくらリポートで示された企業の主な声

【厳しさを指摘する声】

・3密対策で従来通りの接客を控え、売り上げは前年比2けた減が続いている(大阪・百貨店)

・荷動きが停滞しているため、倉庫の増設を延期(福島・運輸)

・工場稼働率の低下を受けて派遣社員の契約更新を見送った(静岡・輸送用機械)

・業績の下ぶれが続く中、冬季賞与は大幅な減額とせざるを得ない(金沢・繊維)

【改善を指摘する声】

・経済活動の再開が早かった中国からの受注は持ち直している(名古屋・生産用機械)

・特別定額給付金の効果もあって冷蔵庫など新製品の問い合わせが増えている(松本・家電販売)

・生産ラインに従事する従業員の募集を7月から再開している(北九州・輸送用機械)