子どもたちの心身とその後の人生を脅かす性暴力について考える企画「子どもへの性暴力」の第2部は、家庭内での性暴力について取り上げます。全8回です。2回目は、自分の身に起こったことの意味さえわからなかった女性の体験と思いとともに、体の大切な部分は人には触らせない、見せないなどのルールを幼いときからすべての子どもに教えていくことの必要性をお伝えします。
「だれにも言ってはいけない」
「自分の身に何が起こっているかもわからなかった。自分を守るすべを知らなかったあのころの自分は無力だった……」。いまもフラッシュバックに苦しむ東日本在住の40代の女性は涙をぬぐう。
幼いころ両親が離婚し、父と暮らした。建設の仕事をする父は出張も多く、子どもに無関心。「帰って来たらお金をくれるおじさん」だった。近くの父の実家で過ごすことが多かった。だが、祖母からお仕置きとして冬に全裸で外に出されるなど、厳しい生活環境だった。
実家には父の兄弟のおじが数人同居していた。小学3年のころ、一番下のおじに突然部屋に引っ張り込まれ、性器を口に入れられた。嫌がると、何度も殴られた。
子どものころに家庭内で受けた性暴力は、信頼する身近な人からの被害だけに特に心身に深い傷を刻み込むと言われています。この連載では、その実情とともに、予防や対策には何が必要なのかを考えます。もし性被害にあったらだれかに話して、助けを求めることも大切です。
しばらくして年上の別のおじ…