[PR]

 「兄の最後の夏の力になりたい」。萩商工(山口)1年の土田愛華(まなか)さんはそんな思いで今春、同校のマネジャーになった。兄とは、一塁手兼投手の怜門(りょうと)君(3年)。小さい頃はケンカばかりだったが、いまは何でも話せる心の支え。応援に通ううちに野球が大好きになった。

 怜門君は昨秋から今年2月、高校まで往復16キロを走って通った。午前6時に自宅を出て、帰宅後はシャドーピッチングや素振りに打ち込む。愛華さんは一番近くでその姿を見てきた。

 ところが、夏の甲子園大会は中止に。「何のために野球やっとったんやろ。もうやめたい」と話す兄に、掛ける言葉が見つからなかった。

 だが、いまは県の独自大会がある。愛華さんは、兄が投手向けの体幹・体力トレーニングをする際には助言し、自宅では練習を見守る。休日のランニングには自転車で付き添う。

 兄が打席に立つと、握る手に一段と力が入る。安打を放てば「よっしゃ」と声が出てしまう。「『俺が(試合の)流れをつかんじゃる』という兄の言葉を信じ、活躍する姿を見られたらうれしい」(寺島笑花)