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 入国者の新型コロナウイルス感染が連日確認されている成田空港(千葉県)。すでに1日約千件のPCR検査に追われ、検査拡充には課題も多い。政府は現在129カ国・地域からの外国人の入国を原則拒否しているが、今後渡航制限を緩和していく予定だ。検疫の現場には危機感が広がる。

 7月1日夕、第2旅客ターミナルビルに中東カタールからの便が到着した。乗客44人のうち25人は外国人船員、残る大半の17人は日本の在留資格を持つパキスタン人だ。小さな子を除いて皆、マスクとフェースシールドをつけている。成田空港検疫所の桜田紳策・前検疫課長(6月末で退職)は「日本に生活基盤のある外国人の家族で、一度出国して母国で過ごし、帰って来る人たちが多い。(交代の)船員も目立つ」。

拡大する写真・図版検疫検査場で到着客に質問票の記入方法を説明する職員ら=いずれも2020年6月、成田空港、藤原伸雄撮影

 国際線は成田、羽田、関西の3空港で主に発着している。外国人の入国が原則拒否の129カ国・地域からも、日本人や特定の在留資格を持ち一定の条件を満たす外国人は、帰国、再入国できる。船員は別に上陸許可が与えられる。

 乗客は船員と、それ以外の人たちに分かれ、通路のパイプいすに座って検疫を待ち、順番が来ると、検疫検査場で、検疫官の説明に従って滞在先や移動手段、電話番号などを質問票に記入した。「家に帰るときは?」。検疫官から公共交通機関を使わないよう告げられたパキスタン人男性は、困ったような表情で尋ねた。父親とみられる車いすの男性を伴い、家は北海道だという。連絡先がはっきりしないなどで、何度もやり取りする姿もみられた。

拡大する写真・図版到着後、検疫検査場の仮設ブースでPCR検査を受ける乗客

 検温とPCR検査の検体採取が終わると、係員に誘導され、数人ずつ入国審査と税関検査に向かった。

 公共交通機関を使わず自家用車などで帰宅できる人は自宅で、できない人は国が空港近くなどに用意したホテルで検査結果を待つ。この便の乗客も19人がホテル待機。専用バスで最後のグループがホテルに入ったのは午後8時半すぎだった。結果は翌々日の朝に伝えられる。陰性でも自家用車などで帰宅できる場合を除き自分で確保したホテルなどでさらに13日間待機する。

 海外から成田に到着する人は緊急事態宣言の解除後、徐々に増えている。PCR検査の対象者も1日約500人以下だったのが、6月は800~900人に増え、28日に1100人を超えた。1日で十数人の感染が確認された日もある。「1日に検疫可能な人数を超える勢いで入国者が増えている。綱渡り状態だ」。成田空港検疫所の田中一成所長はいう。

拡大する写真・図版到着した乗客は、検疫検査場の仮設ブースでPCR検査を受ける

 成田の検疫所は職員約130人。自衛隊の応援は引き揚げたが全国の検疫所からの応援と民間会社の活用、新たな看護師の採用などにより、その2倍近い陣容で臨んでいる。それでも、「身体的にも精神的にもギリギリ。職員が一人でも抜けたら苦しいので、体調管理に気を使う」とある検疫官は明かす。

 検査手順の説明、質問票の確認と回収、入国審査や税関への誘導、検査結果を待つホテルでの受け入れや送り出し、結果の通知など普段より多くの業務に検疫官は追われている。

手狭な旅客ビル 効率化の壁

 検査体制を拡充しようにも、旅…

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