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 各地で被害をもたらしている今回の豪雨。自治体は避難者の受け入れと、新型コロナウイルス対策の両立を迫られている。佐賀県内では、3密を避けるためのスペースを取った避難所に、収容人数を超える避難者が訪れたケースがあった。避難者が少なかったところでも、大きな災害が起きた場合の不安な声が漏れる。

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 浸水や土砂崩れなどの被害が出ている鹿島市。市は避難所で使用するため、高さ1・4メートルのナイロン製仕切り135セットの購入を決めていたが、今回には間に合わなかったという。

 避難所の一つとなっている同市高津原の市民交流プラザ「かたらい」。和室では畳2枚を1人分とし、四方の角にテープを貼ってスペースを確保した。こうした対策を取った場合の収容人数は全体で175人。しかし雨が激しかった6日夜の避難者は249人にのぼった。10日に避難していた女性(83)は「コロナは怖いが、それよりも家にいると雨の音が怖い」。市の担当者は「避難してきた人に『入れない』とは言えない」と語る。

 一方、佐賀市の避難者はピーク時でも全体で235人。最も多い避難所でも21人だった。10日に同市中の館町の赤松公民館に避難した人は2人。10畳ほどの和室にいた女性(80)は「足が不自由なので早めに避難した。広いのでコロナの心配はない」と話した。

 市は自宅2階への垂直避難など、避難所以外の利用も呼びかけている。市民から「避難するべきか」という問い合わせもあったが、自宅にとどまるよう勧めた例もあったという。市の担当者は「熊本県のような規模の災害ならどうなっていたか。正直なところ想像できない」と話す。(福岡泰雄、平塚学)

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 佐賀地方気象台によると、9日の降り始めから10日午後4時までの降水量は、嬉野市で263・5ミリ、佐賀市川副町で211・0ミリ、大町町で182・0ミリなどとなっている。

 梅雨前線に温かく湿った空気が流れ込むため、雷を伴った非常に激しい雨が降るところがある。10日午後6時から11日午後6時までに予想される24時間の降水量は、多いところで佐賀県南部が250ミリ、北部は200ミリという。

 県の10日午後5時時点のまとめでは、住宅の床下浸水が鹿島市で49件、太良町で29件、佐賀市で1件。住宅以外では鹿島市で19件、佐賀市で3件。鹿島市では住宅の全壊が1件、半壊も1件ある。農業被害も広がっており、鹿島市など9市町で水稲が冠水した。

 避難所は19市町で開設され、123世帯の170人が身を寄せている。