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 高校野球の監督になりたい――。そんな思いで昨年度、高校の保健体育の教諭免許を取得。だが、今年4月に着任した北村山(山形)の野球部は選手5人、マネジャー3人。しかも、新型コロナウイルスの影響で練習は休止中。でも、阿部佳弥監督(29)は「これはチャンスだ!」と前向きだった。

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 「30分後、オンライン上に集合」

 4月末、阿部監督はまだ数回しか顔を合わせていない選手たちにSNSのチャットでメッセージを送った。アスリートの体づくりに必要な栄養素、筋肉や骨の仕組みなどについて解説したユーチューブの動画を事前に見ておくよう指示。その上で、阿部監督はオンライン会議システム「Zoom(ズーム)」を使って解説した。

 着任後、阿部監督はまず選手たちに身長や体重、日々の食事などをアンケート。その上で、こうした動画やZoomを活用し、体づくりの基本をたたき込んだ。さらに選手一人ひとりの身体の特徴や伸ばしたいポイントなどを把握し、それぞれに合ったトレーニングメニューも作った。

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 元高校球児の阿部監督。新庄北の主将を務め、3年時にはチームを山形大会16強に導いた。早慶戦に憧れ、早稲田大スポーツ科学部に進学。投手として野球部に入り、2年生からはマネジャーを務めた。

 卒業後、県内に戻って他校の野球部を指導する中、選手に合ったトレーニングの必要性を実感するようになった。科学的な見地も採り入れて野球を教えようと、昨年度は教諭免許取得の勉強に取り組む傍ら、アスリートの体づくりについての独学も続けた。

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 6月、部活動が再開。早速、選手たちは学んだ知識を練習に生かした。

 主将を務める工藤一輝投手(2年)は下半身の柔軟性が足りず、コントロールがばらつく上、けがのリスクもあった。そこで朝練ではストレッチを重視。糖分を控えるなど、食生活にも気を付けた。「以前は足を前に伸ばして座るだけでも痛かったが、今は前屈して手がつま先まで届くようになった」と取り組みの効果を話す。

 マネジャーには、選手が糖分を摂取しすぎないようにアミノ酸やビタミンCなどの粉末を独自に配合した特製ドリンクの作り方を教えた。

 「腹横筋は、打撃でインパクトの瞬間に力を込めるために大事」。工藤投手が仲間に助言をしている様子を見かけ、阿部監督は「理解が深まっている」と手応えを感じ始めている。

 春以降、新たに選手2人が加わった。9人には満たないが、阿部監督は「一人ひとりに応じたメニューを考えているので、この人数で精いっぱい」と笑う。11日開幕の大会には、新庄南との連合チームで挑む。