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 もしマネジャーが、「もしドラ」を読んだら……?

 水口(滋賀)で、その「もし」が起きた。

 ベストセラー小説「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」。経営論の専門書を読んだ女子マネが、チームを甲子園にと奮闘する物語だ。

 西河桜マネジャー(3年)が読んだのは昨年春ごろ。部員の意識をどう高めればよいか、悩んでいた。

 近年、水口は夏の滋賀大会で上位の常連だった。

 2016~18年、3年連続で8強以上。18年秋の県大会で4強進出を果たし、19年夏は優勝を目標とした。

 ところが開幕日の初戦、安打数で上回りながら1点差で振り切られた。1日で夏が終わった。

 どうすれば強くなるのか。マネジャーに何ができるか。悩んだ西河さんはふと、選手によく歯がゆさを感じることに気づいた。

 球場の土足禁止の場所にスパイクで上がる。泥だらけの手で触ったペットボトルを冷蔵庫に戻す。生活の細かな乱れが試合に影響しているのでは、と考えた。

 「もしドラ」の中に、こんな一節があった。

 野球部にとっての顧客を考えることが大事――。

 「私たちの顧客は支えてくれる親たち。その思いを知れば意識が上がるはず」

 そこで思いついたのが、選手の保護者へのアンケートだった。昨夏の初戦敗退直後に質問を配った。

 「このチームに期待することは?」

 返ってきた意見は全員で共有し、練習に反映した。

 プレーだけでなく人間的にも成長して

 「あいさつ」「練習間の移動時のダッシュ」などを徹底した。

 自分1人じゃなくチームで強くなって

 きつい練習の時ほど、自ら声を出し周囲を引っ張るよう、意識改革した。

 その後も「顧客」の意見を積極的に採り入れた。

 秋の県大会、初戦から絶対王者の近江と対戦。最後まで粘ったが力負けした。

 だが「全員が同じ一つの矢印になったと感じた」とエース山本季(とき)君(3年)は手応えを感じていた。

 一方、観戦した親からこんな声が出た。

 強豪とは体格が全然違う 11月下旬ごろ、栄養士を呼び、体を大きくする食事について、選手と親が一緒に聞く講演会を設けた。

 食事トレーニングの効果はてきめんだった。

 佐々木青陽君(3年)は冬場、体重が9キロ増えた。

 「それまでも量は食べていたが、親の協力で栄養も考えるようになった」

 井ノ尾秀徳監督も「例年より体はできた。細い子も野球選手らしい体つきになった」と効果を実感する。

 今月3日、西河さんは、保護者アンケートを選手に初めて見せた。親の言葉が、甲子園のない独自大会を戦う糧になると思った。

 監督、コーチ、選手全員が盛り上がるチームに

 中原亮太主将(3年)は、親が記していたこの言葉を胸に刻んでいる。

 「一番は全員で楽しむこと。磨いてきたチームワークを見せて勝ち進みたい」(安藤仙一朗)