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日曜に想う

 米国の「建国の父」たちは、どんな思いで地上の変調を眺めたのだろうか。

 7月4日の独立記念日は米国人がしばし政治を忘れて一体感を分かち合う祝祭の日である。バーベキューをしたり、花火を楽しんだり。歴代大統領の多くもこの日は党派的なふるまいを控えてきた。オバマ氏はホワイトハウスで市民権宣誓式を開き、米国民の仲間入りをした市民を招いて、その労苦をねぎらった。

 残念なことに、今年は花火大会の8割がコロナで中止になった。だが、建国の父たちがむしろ仰天したのは、感染拡大のさなかにトランプ大統領が支持者を集めて強行した式典だっただろう。

 頭上に軍用機を飛ばし、演説では、人種差別反対の運動で広がる偉人像撤去を「極左、扇動者の仕業」と口を極めて非難。党派色むき出しで保守層の歓心を買おうとした。マスクはつけず、出席者の距離を離す策もとられなかった。

 雷が電気であると証明し、避雷針を発明したベンジャミン・フランクリンはもとより、米国独立の立役者には科学の素養に優れた人物が少なくない。ともに独立宣言を起草したジェファーソン(第3代大統領)は数学を学び、化石収集を好んだ。マディソン(第4代)は米国で最古の学術団体の会員に名を連ねた。

 自然の摂理に真摯(しんし)に向き合うことで、旧弊や特権に縛られない合理的な思考、「人は生まれながらにして自由で平等」という価値観を育んだと思わせる。

 それでも政治と科学の関係は、洋の東西を問わず、とかく緊張をはらんだものになりがちだ。「選挙で選ばれていない科学者に、国民に痛みを強いる決定を委ねるべきではない」とはよく聞く議論である。その一方で「主張を正当化するため政治が科学を都合よくつまみ食いしている」というアメリカン大学のスハイ准教授(科学政策)の指摘もうなずける。

 オバマ政権で科学技術担当の大統領補佐官を務めたホルドレン・ハーバード大教授は「オバマ大統領は科学的視点からの助言を重視した。私もいつでも大統領にアクセスできた」という。「消毒液を体内に注入してみよう」と真顔で言い放つトランプ氏との差は歴然だ。

 ただ、ことの本質は単にトラン…

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