大声禁止でも「最後くらいは…」 最終打席に母は思わず
伊藤良渓
「甘い球、狙っていこう」「楽しんでやるぞ」。スタンドに選手たちの声がよく響いてくる。石岡商の責任教師、久保田昌倫さん(39)は「いつもなら聞こえてこない。こんなことを言ってたんだな」。
新型コロナウイルス感染防止のため、保護者らは赤いコーンで囲まれたスタンドの一角に、距離を空けて席に着く。大声での応援は原則禁止。好プレーが出るたび、「おおっ……」という控えめな歓声と、数秒遅れて拍手が起こる。
「一本、一本!」。石岡商・潮来・竜ケ崎南・神栖の4校連合の主将、金田瑠(るい)君(石岡商、3年)の母美智子さん(48)は六回、打席に立つ瑠君に思わず叫んだ。三振に倒れコールド負け。美智子さんは「(声援は)我慢していたけど、最後くらいはいいでしょ」と涙を浮かべてはにかんだ。(伊藤良渓)
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