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 熊本県に大きな被害をもたらした球磨川の氾濫(はんらん)からまもなく2週間になる。避難生活が長引くとエコノミークラス症候群の危険が増え、雨が上がって気温が上がると熱中症の心配も出てくる。今年は新型コロナウイルス感染症の対策も必要で、学会などが注意を呼びかけている。

 被災地の復興支援に取り組む一般社団法人「FUKKO DESIGN」はコロナ禍での避難生活の注意点をまとめ、SNSで公開した。お皿やコップ、箸といった口にするものやタオルは使い回さず、自分専用にする。手洗いや消毒はこまめに。ほこりはウイルスや細菌が多いためスリッパを履き、1日1回は床を掃除する。気をつけたいのはスマートフォンで、ウイルスが付きやすいため、貸し借りしたら消毒してほしいという。

 理事の木村充慶さんは「想定外の災害に思考停止になってしまう被災者は多い。注意点は、10人ほどの専門家に聞いてつくったもの。できる対策をやってほしい」と話す。

 狭い避難所で足を伸ばせなかったり、車中泊が続いたりするとエコノミークラス症候群の危険がある。

 エコノミークラス症候群は、同じ姿勢を長時間続けることで足の血管に血の塊(血栓)ができる病気。血栓が肺の血管に移動すると呼吸困難や激しい胸の痛みを起こす。死に至ることもあり、日本循環器学会や日本静脈学会が注意を呼びかけている。過去には、2時間半の運転で発症した例もあったという。

 新潟大の榛沢(はんざわ)和彦特任教授(心臓血管外科)は「立ち仕事が多い人や遺伝的に血栓ができやすい人はより注意が必要だ。2時間おきに軽く運動したり、足をもんだりして予防してほしい」と話す。足を圧迫して血流をよくする弾性ストッキングも予防に効果的で、熊本では避難所での配布も始まった。

 これから梅雨が明け、気温が一気に上がると熱中症の危険も増す。今年はコロナ禍で外出が少なかったため、体が暑さに慣れていない可能性がある。

 基本は水分補給と体温の管理だ。避難生活ではトイレの回数を減らそうと水分を減らしがちだが、のどの渇きを感じる前にこまめに飲むようにする。手洗いなどで手のひらを冷やせば効果的に体温を下げられる。一方、マスクは他の人と距離がとれる場所なら外していい。

 国士舘大の田中秀治教授(救急医療)は「慣れない避難生活では睡眠不足や食欲不振になりがちで、誰でも熱中症にかかりうる。災害対応はコミュニケーションが大事だが、今年ばかりは距離を保って、高齢者に目を配るといった工夫をしてほしい」と語った。(藤波優、竹野内崇宏)