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(11日、茨城独自大会 緑岡10-0友部・水戸平成学園)

 五回表、友部・水戸平成学園の一塁手、沢畑佳希(よしき)君(3年)に2度目の打席が回ってきた。「とにかく来た球を打とう」。夢中でバットを振ると、打球は左前に。この試合2打席連続の安打だ。しかし、チームは五回コールド負け。次の打席はなかった。

 沢畑くんが通う水戸平成学園は通信制高校。連合チームに、同学園の部員は1人しかいない。5年前にも友部と連合チームを組んだが、その後は部員がいなかった。今年は6月から、友部のグラウンドに出向いて練習を重ねてきた。

 沢畑君は中学卒業後、別の県立高に入学したが、中学の時に発症した突発的な失神やめまいが悪化し、休みがちに。入部した野球部の練習にもついていけなくなった。学年末に、遅刻や欠席が増えたことで留年か転学の選択肢を迫られた。

 悩んだ末に転校を決意。「また野球をやりたい」と野球部がある同学園を選んだ。転入してみると、部員はゼロ。専用グラウンドもなかった。顧問の石川塁先生と、昨秋から2人で近くの河川敷でキャッチボールを続けてきた。

 公式戦に出られる資格を得られるのを待つ中で始まったコロナ休校。「もう誰とも野球はできないのかも……」と思っていたころ、独自大会が決まった。練習に参加すると、友部の選手は温かく迎えてくれた。仲間と呼べる存在がまたできたことがうれしかった。

 「ナイスバッチ」。試合後、仲間が次々と言ってくれた。「負けてしまったけど、自分を受け入れてくれた仲間と一生懸命やれたので、悔いはないです」と笑顔をみせた。(佐野楓)