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(11日、広島独自大会 千代田6-0尾道東)

 制球が乱れ、4失点で迎えた五回裏。尾道東の投手山本拓海君(3年)は中前に適時打されて2点を失い、焦りが募った。今大会独自ルールの「五回以降7点差以上でコールド」が目前に迫っていた。

 「がんばれー」「いけるぞ!」。うつむく山本君に、仲間が声をかける。それに応え、白球を握ったまま左手を上げて笑顔を見せた。後続に犠打とされたものの、落ち着いて二ゴロとし、ベンチに戻った。

 そこで帽子のつばを見つめた。「仲間を信じて」「本気を見せつけてやれ」。選手や同級生の寄せ書きが、元気をくれた。

 休校が続いたが、体幹トレーニングを続けた結果、球速は約5キロ上がった。「ベストな投球になるように」と意気込んで臨んだ一戦。主将の石黒晧大君(同)の「自分らが守るから頑張ろう」という言葉にも勇気づけられ、六、七回を無失点に抑えてコールドはまぬがれた。

 八回表、2死一塁。打順が回ってきた。初球を無心で振り抜くと、打球は弧を描き高く飛んで、野手のグラブに吸い込まれた。2時間が過ぎ、試合は終わった。

 悔しさは募る。でも久々の公式戦。「楽しかった」と笑顔がはじけた。(成田愛恵)