拡大する写真・図版豪雨により大きな被害を受けた球磨村の被災者ら61世帯、124人が避難している人吉一中の体育館で9日、段ボールのパーテーションやベッドが設置された=2020年7月9日午後3時27分、熊本県人吉市、金子淳撮影

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 熊本などの集中豪雨被害による避難生活で、エコノミークラス症候群になるのを防ぐため、日本血栓(けっせん)止血学会(松下正理事長)が五つの注意点をまとめ、学会のウェブサイトで公開した。コロナ禍での在宅生活が続いていることに加え、災害時には感染を恐れて車中で過ごす人もいると予測され、一層警戒を強めている。

 同学会前理事の浦野哲盟・浜松医大教授らによると、エコノミークラス症候群は、食事や水分を十分にとらずに、車の中や避難所など狭い環境で動かない状況が続くと起こる恐れがある。足の静脈血の流れが悪くなって、下肢の静脈に血栓(血の塊)が生じて「下肢静脈血栓症」になったり、その血栓がはがれて肺の血管を詰まらせたりして「肺血栓塞栓(そくせん)症」になったりするためで、2016年の熊本地震など、過去の災害でも問題になった。

 ふくらはぎや太もものはれや痛みに加え、赤みを帯びるといった症状が出る場合もある。ふくらはぎがつっぱる感じや、足にだるさを感じたら要注意だという。肺血栓塞栓症では、突然呼吸が苦しくなり、胸が痛むなどの症状がある。

 日本血栓止血学会が予防に向けて呼びかけている五つの注意点は以下の通り。

 ①定期的に避難所を出て散歩や体操を

 ②脱水にならないようにこまめに水分補給を。1日1千ml以上が目安

 ③高齢者や肥満のある人、妊娠中や出産後間もない人、外傷や骨折の治療中の人、心臓病・がん・脳卒中などの持病のある人は特に注意を

 ④降圧薬や血液サラサラなどの循環器疾患の内服薬は必ず継続を

 ⑤歩行時の息切れ、胸の痛み、一時的な意識の消失、片足の足のむくみや痛みなどあれば早めに医療従事者に相談を

拡大する写真・図版エコノミークラス症候群を予防するための運動(日本血栓止血学会提供)

 呼びかけ文では、さらに注意点の詳細な内容や、病気や症状についての解説を紹介している。

<学会の呼びかけ文>

http://www.jsth.org/wordpress/wp-content/uploads/2020/07/teigen202007.pdf別ウインドウで開きます

<学会のサイト>

http://www.jsth.org/別ウインドウで開きます(服部尚)

服部尚

服部尚(はっとり・ひさし) 朝日新聞記者

福井支局をふり出しに、東京や大阪の科学医療部で長く勤務。原発、エネルギー、環境、医療、医学分野を担当。東日本大震災時は科学医療部デスク。編集委員を経て現職。