清水寿之
拡大するイラスト・加藤啓太郎
豪華な幕の内弁当を前に、どこから箸をつけようか悩む――。そんな感覚に似た興奮を過去の五輪取材で味わいました。それは、様々な競技で世界トップクラスの演技や対戦に触れられるからこそ。サッカーのワールドカップ(W杯)など単一競技の世界大会には無い、独特の高揚感がありました。
東京五輪でも、一つの競技も欠けることなく実施してほしいのが本音です。しかし、延期で経費削減は避けられない。緊急事態のいま、競技数を絶対的なものにせず、削減を含めて検討するべきです。
拡大する東京五輪で実施される33競技のピクトグラムを手にする子どもたち=2019年3月12日、諫山卓弥撮影
考え方に「聖域」は不要でしょう。
まず思い浮かぶのはサッカーです。男子は世界最高の舞台とは呼べません。国際サッカー連盟が、W杯の威厳を保つために設けたルールがあるからです。出場できる選手の年齢に上限がかけられています。
有資格は23歳以下で、1年延期された東京大会では24歳以下。年齢制限を超える「オーバーエージ」の選手は1チーム3人までしか認められていません。
さらにサッカーは、他の五輪競技と違い、仙台などに散らばった会場を各チームが転々とする可能性があります。試合会場を絞れば芝生に過度な負担がかかり、コンディションが悪化する恐れがあるなどの理由からです。移動にかかる経費、移動によって生じる新型コロナウイルス感染拡大のリスクはサッカーならではの課題です。
伝統のあるプロツアーが確立されているゴルフやテニスは、「4大大会」という形で、五輪以外に世界最高の舞台が用意されています。コロナ禍の東京大会では、柔道やレスリングといった「密」と切っても切れない対人競技もリスクが高そうです。
もう一つ、東京大会の実施競技数が史上最多の33に膨れ上がった経緯が、いまも心に引っかかっています。
国際オリンピック委員会(IO…
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