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 「運命の出会い」がなくたって、「選ばれた存在」でなくたっていい――。作家、津村記久子さん(42)の新刊『サキの忘れ物』(新潮社)は、読めばそんな励ましが聞こえてきそうな短編集。表題作は、誰かに選ばれるのではなく、自分の人生を自ら選ぼうと、小さな一歩を踏み出す女性を見つめた物語だ。

 表題作の主人公、千春は喫茶店でアルバイトをしている。高校を中退したばかり。親は千春に無関心で、ただ一人の友だちは店に来た時、ミルク代200円を負けなかったことで疎遠になった。彼氏には3股をかけられ〈連絡するのが面倒〉と振られてしまった。

 〈自分のやることのすべてに意味なんてない〉

 不遇も淡々と受け入れてきた千春だったが、ある日、常連客の女性が忘れていった一冊の文庫本を、なぜか一晩持ち帰ってみたくなった。読みたいわけではなく、自分が〈何をやっても誰もまともに取り合うはずもない〉という気がしたからだった。

 「生まれた境遇や育った環境によって、『自分は無力な存在だ』と思い込まされている人もいます。でも、持って生まれたリソース(資源)で人生が決まるなんて、納得できないやないですか」

 誰でもその気になれば、触れられ、体験できるもの。そんな「『オープンソース』によって、人生が少しだけいい方向に動き出す話を書きたかった」と話す。

 千春の身に起こるのも、特別で…

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