進学校のエース対決、延長突入 明暗分けた変化球の差

米田悠一郎
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(12日、長崎独自大会 長崎北2-1長崎東)

 十回2死三塁、一打サヨナラのピンチ。相手がバントした球が三塁線ぎわを転がる。「出せ!出せ!」。長崎東のエース、柿本圭吾投手(3年)の叫びが祈るように響いた。ゆるゆると転がった球はベースに当たり、ぎりぎりフェアの位置で止まった。

 相手は長崎北。進学校同士、練習試合する機会も多い。ともにサイドスローの両校エースは互いを意識し合ってきた。長崎北の池田興投手(同)は「彼の回転数の方が上で、自分には持っていないものを彼は持っていると思います」と評する。

 先発した柿本投手の直球はこの日、内外ともに厳しいコースによく決まった。三回の満塁のピンチも、後続を中飛に打ち取り切り抜ける。七回には味方打線が待望の1点をもぎ取った。

 だが、変化球を狙われた。九回2死一塁、高めに浮いたスライダーをレフト線ぎりぎりに引っ張られて同点を許し、今大会初の延長にもつれ込んだ。

 最終回、三塁走者が生還して幕切れ。柿本投手はその場に崩れた。整列で正面に立った池田投手に「がんばって」と言うのが精いっぱいだった。

 何が明暗を分けたのか――。柿本投手は「変化球のキレでしょうね」。試合を決めた数センチの差を思った。(米田悠一郎)

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