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 新型コロナウイルス対策の休校や休園で仕事を休まざるを得なかった保育士たちが、休業補償が十分にされないと訴えている問題で、当事者らが加盟する「介護・保育ユニオン」と保育士らが13日、内閣府に要望書を提出した。国が私立認可保育園に運営費として支給する「委託費」について、使い道が事業者の裁量に委ねられていることを見直し、人件費相当分には縛りをかけるよう訴えている。

 要望書を提出したのは、同ユニオンに加盟する保育士ら3人。

 現在、公立の認可園で働く保育士には公務員に準じた給料が支払われているが、私立の認可園では、公費と保護者が支払う保育料が財源となった「委託費」が事業者に支給され、そこから給料が支払われる。今回、コロナ対策の休園で登園する子どもが減っても、国からは通常通りの委託費が支給されており、内閣府も「人件費の支出について適切に対応いただくべきだ」などと、事業者に本来の給与を支払うよう求めてきた。

 ただ、委託費の使い道は事業者の裁量に委ねられているのが実態で、どれほどを人件費に回すかについての規定はない。そのため、通常は委託費の7~8割に相当するとされる人件費が、給料以外に流用され、保育士の低賃金の一因になっているとも指摘されてきた。

 都内の認可園に勤める30代の男性保育士は「委託費が園に支給されても、このうち人件費相当分が規定されない限り、事業者が利益追求のために保育士の賃金を減らすことは改善されない。保育士の待遇の悪化は保育の質の低下にもつながり、子どもたちにも影響することを考えてほしい」と訴える。

 都内の私立認可園で働いていた30代の女性保育士は、コロナ禍で仕事を休まざるを得なくなったとき、「委託費は全額出ているのだから、休業補償をしてほしい」と事業者に直訴した。だが、担当者からは「委託費をどう使うかは、会社が決めること」と返答され、この間の十分な保障はなかったという。

 女性は「子どもたちの育ちを支える保育士を守るより、会社の利益を優先することに強い違和感があり、がくぜんとした」と、6月末でこの園を退職した。

 同ユニオン共同代表の三浦かおりさんは、「委託費の弾力運用が許されていることにより、国の想定よりも低い額しか保育士に支給されなかったり、園に必要な備品がそろえられなかったりしている。コロナ禍をきっかけに元々の制度上の問題が噴出してきた」と指摘した。(中井なつみ)