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 来春卒業する高校生を対象にした企業から学校への求人申し込みが、1日始まった。近年、少子高齢化による人手不足から「売り手市場」が続いてきたが、今年は新型コロナウイルス感染症による景気の落ち込みが影を落としている。

 約300人の3年生のうち200人前後が就職を希望する、愛媛県立松山工業高校(松山市真砂町)。進路指導課の教員が県内企業から求人の説明を受ける面談が、1日から始まった。新型コロナ対策で、今年は県外企業の学校訪問を断り、電話やオンラインでの面談を進めている。

 進路指導課長の稲井成拓教諭は「新型コロナの影響はまだ実感としてはない」としつつ、「昨年よりは悪化する」とみる。6月、同校からの就職実績がある県内外の270社に求人数についてアンケートを送ったところ、ほぼ「例年通り」とする調査結果が出た。ところが、求人申し込みが始まる7月が近づくにつれ、「今年は求人できない」と回答を変える企業が数社現れたという。

 昨年は約200人の就職希望者に対して1400人分の求人が殺到。ほとんどの生徒が希望通りの就職をすることができた。稲井教諭は「今年はどれだけ悪くなるか、注視しなければならない」と話す。

 愛媛労働局によると、県内8カ所のハローワークが企業から受け付けた来春卒業予定の高校生向け求人数は、6月の1カ月間で約3700人。前年と比べ12%減った。一方、求人を出した事業所は約900社で、5%の減少にとどまっており、労働局は「企業としては新卒採用は続けるものの、採用人数を絞る傾向が見られる」と分析する。

 6月末時点の県内の来春高校卒業予定者の求人倍率は1・5倍台。前年までの積極的な求人状況よりは勢いが落ちているものの、労働局の担当者は「心配していたほどの落ち込みは見られない」とする。ただ、高校生に比較的人気のある宿泊施設などで採用が減っているといい、「業種のミスマッチが起きる可能性がある」と懸念を示す。

 新型コロナの影響で全国で休校が相次ぎ、企業への応募書類提出が10月5日、企業の選考開始が同16日と、今年の高校生の就職活動は例年より1カ月遅い。このため、景気動向などを見極めてから求人を出そうと、様子見をしている企業もあるとみられる。

 「企業の担当者からは、スケジュールが遅くなることで採用試験の受験機会が少なくなり、就職活動が難しくなる生徒も出てくるのでは、と指摘された」と松山工業高の稲井教諭。「選考の1カ月前から集中的に学科試験や面接対策などの指導をしたい。スケジュールの遅れや採用減は全員同じ条件。生徒には目の前のことに取り組むしかないと伝えたい」と話している。(伊東邦昭)