コロナ禍が直撃したライブエンタメ業界。激震と再生の模索を3回で追う。
ぴあの矢内廣社長の長年の夢だった。4月25日開業予定だった横浜市のぴあアリーナMM。みなとみらい地区に新設した1万2千人収容のコンサート会場である。
「こけら落としは同じ横浜出身の、ゆずにやってもらうつもりだったんですが、コロナでかなわなくなり……」。日向坂46、アイアン・メイデン、いきものがかり……。予定された公演が続々延期・中止に追い込まれた。ゆずが無観客のぴあアリーナで演奏した代表曲を10日夜に配信し、これをもって開業日としたが、観客を入れての「開業」は早くても8月以降になりそうだ。
拡大するぴあアリーナMMは開業直前にコロナ禍によって多くのコンサートの中止、延期に追い込まれた=2020年5月29日、横浜市、大鹿靖明撮影
テレビ局でアルバイトをしていた映画好きな矢内氏が、バイト仲間と1972年に創刊したのが情報誌ぴあ。映画や演劇、コンサートの情報を細大漏らさず紹介し、若者の必需品に。やがて映画祭開催やチケット販売に乗り出した。東日本大震災で郷里の福島県いわき市が被災したことを機に、被災地にライブエンタメを提供しようと一般社団法人チームスマイルをつくり、いわきや釜石などにホールを開いた。
震災後、音楽産業は大きく変わった。「インターネットでバーチャルな楽しみが広がる半面、その反動なのか、正反対にあるリアルに体験できる音楽やステージへの欲求がものすごく高まったんです」と矢内氏。2011年に1634億円だったコンサート市場は19年には4237億円と2倍強に急拡大。13年にはCD市場を追い越した。レコード会社主導型からライブ主導型に変化し、ライブ会場の飲食やTシャツ販売など関連売り上げも急増した。
コンサートプロモーターズ協会…
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