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 コロナ禍のなか、除菌目的の利用が広がった「次亜塩素酸水」。科学的根拠をどう捉えるか、社会の間に混乱も生じた。商品の科学情報を、専門家ではない消費者はどう受け止めればよいのか。明治大学科学コミュニケーション研究所の山本輝太郎研究員(科学リテラシー)に聞いた。

拡大する写真・図版DHA・EPAの評定が記載されている「Gijika.com」のページ。判定の根拠なども読むことができる

研究にはばらつきがつきもの

 ――明治大学科学コミュニケーション研究所では、「科学らしくみえるもの」の科学性を判定する「Gijika.com(ギジカドットコム、https://gijika.com/別ウインドウで開きます)」というサイトを運営していますね。

 科学的に議論のある商品や商法について、生活者と科学を結ぶ場にしたいという意識から、2014年に前身のサイトを開設しました。研究所を主体に、認知科学や理科教育の専門家など10人近くの学識者が連携しています。

 これまでに、水素水や血液クレンジングなど28のテーマについて科学性を評価しました。たとえば、魚類に多く含まれる脂質の「DHA・EPA」は科学性が高いと評価し、「水素水」や「血液クレンジング」は低いと評価しています。

 評定の基準は10項目あります。たとえば「説明が矛盾なく一貫していて、類推などの飛躍がないか」「複数の研究で繰り返し確認され、第三者に評価されているか」「データの収集や測定方法が明瞭にされているか」などです。評定する際は、世界的に科学論文が登録されているデータベースを調べます。

 ――多くの論文を調べることが大切なのですね。

 研究には「ばらつき」がつきもので、実験の質もさまざまです。ある実験では肯定的な結果が出ても、別の実験ではそこまで出なかったりします。ですので、論文の質をみるときは「試験管内の実験なのか、動物実験なのか、ヒト試験なのか」「データの読み取りに評価者の先入観が入らないようにしているか」「調べたいもの以外の影響によってデータが左右されていないか」「否定的なデータがお蔵入りになっていないか」などを検討します。論文の質や量を総合的に見て、その事象が「おおむね確かだ」と言えるかどうかがポイントです。

 多数の論文を網羅的に調べて判断することを「システマティックレビュー」、それを統計的に処理してまとめて分析することを「メタ分析」と言いますが、これを経て有効性や安全性が認められていれば、エビデンス(根拠)の度合いはかなり強くなります。

 逆に、いわゆる健康食品などによく見られるのですが、試験管レベルの自社の試験結果だけを示して「有効性が認められた」とするのは、根拠としては強くないと言えます。もちろん、医薬品を含め商品開発は自社試験が中心になるのは当然なので、重要な知見の一つであることは確かです。しかし、科学的なエビデンスは「有無」とともに「強弱」も大切なのです。

「専門家の談話」「愛好者の声」はエビデンスとは呼べない

 ――「強弱」はどのように見分ければよいでしょうか。

 科学リテラシーの理想を言えば…

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