法隆寺の百済観音、東京から戻る 新ガラスケースで公開
奈良・法隆寺の国宝・百済(くだら)観音像(高さ2・09メートル)が14日、透明度の高い特殊な新しいガラスケースに納められ、拝観できるようになった。東京国立博物館(東博)で3~5月に予定されていた特別展「法隆寺金堂壁画と百済観音」で展示するため2月に寺から運び出し、この日戻された。
百済観音像は7世紀の飛鳥時代につくられ、日本古代彫刻の傑作の一つとされる。東京での公開は1997年以来となるはずだったが、新型コロナウイルスの影響で特別展が中止に。展示に合わせてつくられたガラスケース(高さ3・8メートル、幅2メートル、奥行き1・9メートル)は東博で解体され、寺で再び組み立てられて、百済観音像が安置された。この日、ケースに納められた百済観音像を前に、僧侶らがお経を唱えた。
製作した文具大手コクヨなどによると、一般的なガラスにみられる青みを最大限減らした透明度の高い特殊なガラス(厚さ6ミリ)2枚を接着し、低反射コーティングを施した。通常のガラスの反射率は約8%とされるが、今回のガラスケースは約1%に抑えた。免震装置を設けたほか、タブレット端末で調整できる小型LEDスポットライトを取りつけたという。
古谷正覚(しょうかく)・管長代務者は「透明度やライティングが違い、今までよりもクリアに美しく見える。お参りしてすばらしさを再認識し、心を洗われてほしい」。東博の浅見龍介・企画課長は「表情や彩色、曲線がクリアに見え、研究者も観察しやすくなる」と話した。
法隆寺の売店では、百済観音像のフィギュアの販売も始めた。造形企画制作会社「海洋堂」が高さ約16センチで再現した。8300円(税込み)。(岡田匠)
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