斎藤徹、榧場勇太、伊沢健司
拡大する笛美さんが「#検察庁法改正案に抗議します」をつけて5月8日に発信した「1人ツイッターデモ」は、瞬く間に拡散し、ツイート数は1千万件を超えた=2020年7月10日午後6時12分、東京都内、斎藤徹撮影
昨夏の参院選で、札幌市で街頭演説中の安倍晋三首相にヤジを飛ばした市民が北海道警の警察官に排除された問題は、15日で1年がたった。警察官の行為の違法性を問う検察への告訴は不起訴となり、民事裁判は係争中だ。一方、この問題が投げかけた、政治的な意見も萎縮せずに表明しようという市民たちの思いは確実に広がっている。
「#検察庁法改正案に抗議します」
今年5月8日午後7時40分、東京都の30代会社員、笛美さん(ツイッターのアカウント名)は、そのハッシュタグでスマートフォンからツイートした。すると、連鎖するように同じハッシュタグがツイッターにあふれた。2日後、100万件を超えた。
この法案について政府は、検察官の定年を段階的に引き上げる内容との説明を繰り返した。だが、SNSで批判が集まったのは、時の政権が思いのまま検察幹部の人事を動かせるようになるのではないか、という点だった。笛美さんの投稿から10日後の18日、政府・与党は開会中の国会での成立断念に追い込まれ、翌6月17日、廃案となった。ツイートは、1千万件を超えていた。
「コロナ禍で不安な日々を送るなか、政府の施策や対応に不信感を持つ人が増えていたんだと思う。おかしいと思ったことは声に出していいんだって」。笛美さんの背中を押した一つのきっかけが、「道警ヤジ排除問題」だった。
4月。笛美さんは新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、自宅待機を余儀なくされていた。SNS上で政治関連のサイトを検索してたどりついたのが、この問題を取り上げた北海道のテレビ局が作ったドキュメンタリー番組だった。
「安倍やめろ」とヤジを飛ばし…
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