米連邦政府、17年ぶり死刑執行 トランプ氏意向反映か

ニューヨーク=藤原学思
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 米連邦政府は14日、17年ぶりとなる死刑を執行した。死刑廃止に向かう国際社会や米国内の世論の潮流に逆行する動きだ。死刑の必要性を主張してきたトランプ大統領の意向が働いたとみられ、批判の声が上がっている。

 執行されたのは、中西部インディアナ州テレホートの連邦刑務所に収容されていたダニエル・リー死刑囚(47)。司法省によると、リー死刑囚は1996年1月、南部アーカンソー州で8歳の少女を含む一家3人を殺害し、遺体を川に遺棄。99年5月に死刑を言い渡された。

 連邦政府による死刑執行は2003年3月以来。昨年7月にトランプ政権が再開を発表していた。リー死刑囚の執行については、執行方法をめぐる複数の訴訟が起こされていたが、連邦最高裁が14日未明、執行を認める決定を下した。被害者の親族からは、新型コロナウイルスの影響で立ち会えないとして、執行延期を求める訴訟も起こされていた。

 米国では大半の事件が州内で処理されるが、連邦捜査局(FBI)が捜査に加わるような凶悪事件などは連邦裁判所で審理される。NPO団体「死刑情報センター」によると、今年は州レベルでこれまでに7件の死刑が執行されたが、その数は1999年の98件をピークに減少傾向にある。

 死刑制度に詳しいノースウェスタン大のジュリエット・ソレンセン教授は取材に「完全な手続きを踏まなければ、死刑は執行されてはならない。新型コロナウイルスの時代に死刑を再開することは不必要であるだけでなく、近視眼的であり、正義に反するものだ」と答えた。(ニューヨーク=藤原学思

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