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 言葉や文化を超え、世界の人の心を揺さぶる作品を生み出してきた京都アニメーション(本社・京都府宇治市)。制作拠点のスタジオが放火され、36人が死亡、33人が重軽傷を負った事件から18日で1年になる。

 「こちら葛飾区亀有公園前派出所」で知られるマンガ家・秋本治さん(67)は、京都アニメーションのファンで、影響を受けて京都が舞台の作品も描いた。マンガ家デビューする前は、アニメ会社に勤めていた。今、熱い共感を込めて「京アニ」を語る。

事件のニュースはつらくて見ていられなかった

 僕がアニメ会社の「タツノコプロ」(「科学忍者隊ガッチャマン」「タイムボカン」など)にアニメーターとして入ったのは、まだ10代の頃です。周りにも10代からアニメを志す若者がいて、活気にあふれていました。みんな驚くほど絵がうまくて、感性が鋭く、若さにまかせて仕事に打ち込んでいた。そんな頃が思い出されて、事件の時はニュースがつらくて見ていられませんでした。

拡大する写真・図版秋本治さん

あきもと・おさむ 東京都葛飾区生まれ。1976年「こちら葛飾区亀有公園前派出所」でデビュー。2016年までの40年間、一度も休まず連載を続けた。現在は「BLACK TIGER―ブラックティガー―」「Mr.Clice―ミスタークリス―」を連載中。

 分業が進んだアニメ業界にあって、京アニは外注に任せず工程の多くを自社でまかなう。そこが僕のいた頃のタツノコと似ているんです。タツノコは東京の外れでしたけど、京アニはもっと離れた京都。いろいろ不利なことや不便なことがあるだろうと思いますが、まるで京都の伝統である西陣織のように、丁寧に、誇りを持って、昔ながらのやり方で質の高いアニメを作ってきた。そこにすごく共感し、うらやましさも感じて、ずっと作品を見てきました。

 「けいおん!」は女の子たちがかわいくて、しぐさやセリフが自然。主要スタッフに女性が多い京アニの特色が出ましたね。男が描くといやらしくなる、というわけじゃないけど、男はつい、男にとっての「理想」を描いてしまうから。

 衝撃を受けたのは吹奏楽に打ち込む高校生を描いた「響け!ユーフォニアム」です。スポーツなら勝ち負けがハッキリしてドラマにしやすいのに、あえて文系の部活。演奏時は40人くらい集まってそれぞれ複雑な形の楽器を持っている。それを曲に合わせて動かし、指の動きまでごまかさず正確に描くなんて。1本の映画ならまだしも、何話も続くテレビシリーズでそんな恐ろしく手間のかかることをやってのけたから、京アニってすごいところだなと思いました。

 物語では、上級生から下級生まで、たくさんの部員が織りなす人間模様に引き込まれました。ちょっと流された感じで音楽をやっていた主人公が「うまくなりたい!」と叫ぶ大事なシーンがあって、あれが僕にはうれしかった。マンガに通じるものがあるから。勝ち負けで結果が出るものじゃないので「うまい」って何か分からない。それは自分で気づいて、自分で学んで、自分で上っていかなきゃならないんですよ。

 僕は京都が好きで、休みの時に…

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