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 第163回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が15日、東京・築地の「新喜楽」で始まった。新型コロナウイルス感染拡大を防ぐため、前回より2時間早い午後2時にスタート。受賞作は当日、発表される。

 選考委員による講評と受賞者の記者会見が予定されている帝国ホテルの会場は、ソーシャルディスタンスを保つため、入場する記者やカメラマンの人数を制限。選考委員の講評は新喜楽からの中継となるため、前方にはスクリーンが設置された。会見に出席する受賞者の席には、アクリル板が用意されている。

 芥川賞は、候補者5人のうち4人が初めての候補入り。唯一、3度目となる高山羽根子さんは、沖縄を舞台にした「首里の馬」(新潮3月号)でノミネートされた。世界のどこか遠いところにいる人たちと動画通信をつなぎ、リモートでクイズを出すという奇妙な仕事に就く女性の視点でつづられる。

 母娘の和解を描く「赤い砂を蹴る」(文学界6月号)で候補入りした劇作家の石原燃さんは、母親が作家の津島佑子さん、祖父が文豪の太宰治。昭和の名画座を舞台にした「アウア・エイジ(Our Age)」(群像2月号)が候補になった岡本学さんは、神奈川工科大学情報学部の教授だ。遠野遥さん「破局」(文芸夏季号)、三木三奈さん「アキちゃん」(文学界5月号)と、ともに20代後半で同世代の新人作家2人も顔をそろえた。

 直木賞は、ベテラン作家の馳星周さんが5年ぶり7度目の候補入り。候補作の「少年と犬」(文芸春秋)は、東日本大震災で被災した家族に飼われていた犬が、日本を南下しながらさまざまな人々と出会う連作短編だ。

 4度目となる澤田瞳子さんは、謡曲を下敷きにした「能楽ものがたり 稚児桜」(淡交社)でノミネート。3度目の伊吹有喜さんは岩手・盛岡を舞台にした親子3代の物語「雲を紡ぐ」(文芸春秋)、2度目の今村翔吾さんは戦国武将の松永久秀が主人公の歴史小説「じんかん」(講談社)で候補になった。遠田潤子さんは、奈良のしょうゆ蔵を舞台に少女の成長を描く「銀花の蔵」(新潮社)で初めて候補になっている。(山崎聡)