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コロナQ&A(海外事情から学ぶ編) 回答:中村安秀・甲南女子大学教授

 Q 新型コロナウイルス以前にも、人類は多くの感染症と闘ってきました。各国はどのように協調し、日本はどんな役割を果たしてきたのでしょうか?

 A 本格的な国際協調は、「沖縄」から始まったと言えるでしょう。感染症に対する国際協調に主要国首脳会議で初めて合意が得られたのは、2000年の九州・沖縄サミットです。当時はエイズ、結核、マラリアが中心でした。

 合意は、各国が資金協力して財政面を固める、ワクチンや医療品が世界中で入手できるようにする、財団やNGO(非政府組織)などの民間と連携するといった内容です。これをもとに官民共同で感染症対策を支援する世界的なエイズ・結核・マラリア対策基金(グローバルファンド)が設立されました。この基金には、民間の「ビル&メリンダ・ゲイツ財団」も多額の資金提供をしています。

 さかのぼれば、日本人は1970年代の天然痘対策でも大きな役割を果たしました。冷戦下で米ソの足並みがそろわず、当初、抑え込みは難航しました。しかし、世界保健機関(WHO)が米ソへ働きかけ、全人口の8割のワクチン接種を実現させて80年に根絶を宣言。根絶に成功した唯一の例となりました。この時にWHOの天然痘根絶対策本部長として指揮をとったのは、日本人医師の蟻田功さんでした。

 新型コロナは無症状のケースや動物への感染などの特徴があり、対策は難しいです。米中が対立していますが、抑え込むには各国が足並みをそろえなければいけません。国際小児科学会などが、トランプ米大統領に手紙を送るなどして協調を呼びかけています。日本は途上国援助(ODA)のうち保健医療分野の割合が他の分野と比べて少なく、主要7カ国(G7)の平均の半分以下というデータもあり、今後は資金面での援助を強化することが必要です。(聞き手・大部俊哉)

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 なかむら・やすひで 甲南女子大学教授。小児科医で、国際保健医療に関わり、母子健康手帳を世界に広める活動に取り組む。