家族の性暴力を拒めなかった私 悪くないと気づけた日

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編集委員・大久保真紀
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 子どもたちの心身とその後の人生を脅かす性暴力について考える企画「子どもへの性暴力」の第2部は、家庭内での性暴力について取り上げます。全8回です。7回目は、被害を受けた当事者の女性が、自分の身に起こったような被害をなくすためには何が必要なのかを語ってくれました。

「嫌と言っていい」と、早く知っていたら

 「こういう教育が、幼いころの自分にほしかった」

 北海道に住む女性(43)は、10年ほど前、子ども向けの性教育の催しに小学生の娘と参加した。講師が、水着で隠れる部分をプライベートパーツと呼び、その部分は人に見せたり、触らせたりしてはいけないこと、人のを見たり、触ったりしてもいけないことを教えていた。

 「触られそうになったら嫌と言っていい。もし触られたら近くの大人に話すんだよ」。講師はそう子どもたちに言った後、親に向かっても語りかけた。「子どもが告白してきたら、まずは『つらかったね』と受け止めてあげてください」

 女性は小学生のころから、ふろに勝手に入ってくる父に胸や性器をさわられた。嫌だった。

 でも、どこかでうれしい気持ちもあった。それは、このときだけは父が優しかったからだ。

 2歳のとき、母が死亡。一家は父の実家で暮らした。祖父は殴ったり、けったりする暴力的な人だった。父は手はあげないが、物を投げたり、大声で怒鳴ったりした。「お前なんてどうせ何やってもダメだ」が女性への口癖だった。

子どものころに家庭内で受けた性暴力は、信頼する身近な人からの被害だけに特に心身に深い傷を刻み込むと言われています。この連載では、その実情とともに、予防や対策には何が必要なのかを考えます。もし性被害にあったらだれかに話して、助けを求めることも大切です。

 数年して、父がしていること…

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