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 新型コロナウイルスの感染予防策として広く使われるようになった飛沫(ひまつ)防止用の透明シートや手指に使う消毒用アルコールに、火災につながる危険性が潜んでいる。シートは燃えやすい性質があり、大阪府内では火災が起きたケースもある。消防庁などは注意を呼びかけている。

 「飛沫防止シートの付近では火気の使用、喫煙は決してしないで下さい」

 大阪府の枚方寝屋川消防組合は注意を呼び掛けるため、ちらしをつくった。きっかけは、4月下旬に起きた火災だ。商業施設のたばこ売り場で、客がライターを試しに点火したところ、左右に立てた棒に張る形で設置してあった飛沫防止シートに火が移った。

 けが人や建物への延焼はなかったが、組合の担当者は「天井からシートがつるしてあったり、もっと大きなシートだったりしたら燃え広がった可能性もある」と指摘する。

 組合が火災の再現実験を実施したところ、たばこ売り場のシートと同じシート(縦90センチ、幅180センチ)を棒の間に張って火をつけると、約40秒で大部分が燃え尽きたという。ビニール製やナイロン製の飛沫防止シートは燃えやすい性質があるためだ。火がつくと、一気に拡大して全体に燃え広がっていく可能性がある。

 金沢市消防局による燃焼実験もある。ビニール製シートを白熱電球やハロゲンランプと接触させると早ければ約3分で煙が上がり、約5分で一部が焦げたという。

 飛沫防止シートは、コンビニやスーパーのレジ、官公庁の窓口、飲食店のテーブルなどで設置が進む。政府の専門家会議が、感染予防策の一つとして「人と人が対面する場所は、アクリル板・透明ビニールカーテンなどで遮蔽(しゃへい)する」と提言したことがきっかけとなった。

 こうしたことから消防庁も6月、都道府県などに飛沫防止シートの留意点について通知を出した。火気を使う設備・器具、白熱電球などから距離をとる▽スプリンクラー設備の散水に障害が生じない位置に設置▽難燃性または不燃性のものの使用を検討――などを関係者に周知するよう求めた。

 一方、シートに防炎性能が備わっていれば着火しにくく、火がついても燃え広がりにくい。そうした商品を扱うアキレス(本社・東京)では、4月の緊急事態宣言の直後からシートに関する問い合わせが殺到。防炎性能があるシートの価格は、防炎性能のないシートの1・5倍程度だが、品薄状態が続いているという。

 手指の消毒用アルコールにも注意が必要だ。大阪市消防局の実験では、マネキンの手に消毒用アルコールを吹きかけた直後にたばこを指に挟んで火を付けようとすると、手が瞬く間に炎に包まれた。こうした様子をユーチューブで公開し、注意を呼びかけている。

 消防庁も消毒用アルコールは火気の近くで使わない、直射日光が当たったり、高温になったりする車内などで保管しないよう周知を図っている。(本多由佳)