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(15日、大分独自大会 大分上野丘8-0由布)

 「なんとか九回まで戦いたい」。8点差に広がりコールドゲームへの黄信号がともった七回表、なお2死二、三塁。由布の河野颯太君(2年)が守る一塁を鋭いライナーが襲ったが、ミットに収め、ピンチを脱した。亡き祖父の勝巳さん(享年67)から買ってもらった大切なミットだ。

 勝巳さんは米農家。河野君も小さいころから農作業をよく手伝った。

 ミットを買ってくれたのは中学で硬式野球チームに入った時。ねだればなんでも買ってくれる祖父だったが、初めて勝巳さんから「買いに行こうか」と言い出してくれた。「持っていたのが軟式用だったので。見ていてくれたのがうれしかった」。宝物になった。

 だが中3の5月、勝巳さんは作業中の事故で急死した。河野君は「ずっと心に残っている。恩返ししたいという気持ちで今でもミットを使い続けています」。

 七回裏、無死三塁で打席が回ってきた。「犠飛で1点」。甘い変化球を狙って左翼に飛球を放ったが、距離が足りなかった。後続も倒れ、試合は終わった。

 リーダーシップを監督に買われ、2年生ながら主将を務めた。「目の前のことをしっかりやり、来年は県の上位に入りたい」(寿柳聡)